本格ミステリー館 (角川文庫 し 9-1)
本格ミステリー館 (角川文庫 し 9-1) / 感想・レビュー
Tetchy
「本格とは何か?」を両者が語り合った対談集。本格に対し、渇望感を抱いていた島田と平成の本格作家である綾辻との温度差は結構あり、両者の中で対立する部分もあり、面白い。特に島田はかなり極論を多用する。この辺が特に危うく、日本人を簡単にカテゴライズしようと懸命である。それに対し綾辻はまだ明確に定義は出来ないものの、漠とした何かを持っており、島田の極論に対し、かなりニュートラルに対応する。面白くはあったが、これを鵜呑みするのが読者の仕事ではない。これを読み、何を考えるのか、それが大事なのだ。
2009/08/05
寛理
今回これを読んで、わりと島田荘司の方に賛成したくなった。島田の「幻想」や「文章力」というのは実態を伴わない空虚なスローガンであり、凡庸な文学主義であるように見える。その点、幻想・現実の二元論を批判する綾辻の方が正しい。ただ、島田荘司の発言で重要なのは「ポーに帰れ」という発言だと思う。幻想小説を書くためには「思い込み」が必要なのだ。島田ほど徹底したロマン主義者は珍しいだろう。
2020/10/21
ゆう
ミステリの議論に収まらず、様々なテーマに触れている。 自分は綾辻行人寄りの意見。
2018/08/17
安藤永遠
綾辻がデビューして30年。本書からは25年の時が経過している。新本格はミステリジャンルの幅を広げることに一役買ったものの、それ自体はマニア向けとなり、コージーミステリーあるいはキャラクターミステリーが全盛期となってしまった。それにしても90年代の新本格界隈は活気があって楽しかったなぁ。
2017/08/09
ウィン
島田荘司氏と綾辻行人氏の本格ミステリについての対談。両者の意見は決して一致しておらず、互いが互いの意見にうなずけない部分を持っている。島田荘司氏の本格ミステリ論はある程度は完成形といえるものかもしれないが、91年に行われたこの対談時には、まだデビュー間もなかった綾辻行人氏の本格ミステリ論はまだ漠然としたものであったように思える。
2010/08/19
感想・レビューをもっと見る