帝都物語 第四番 (4) (角川文庫)
帝都物語 第四番 (4) (角川文庫) / 感想・レビュー
ヴェルナーの日記
本巻は大戦末期の満州国を舞台にした『大東亜篇』と、日本の敗戦よって第2次世界大戦が終了し国内は米国主導の下で戦後復興がはじまる『不死鳥篇』が編まれている。『大東亜篇』では黒田茂丸と満州の地下に潜む”龍”を駆り出そうとする加藤保憲との対決―― 満州映画の理事長・甘粕正彦も一枚咬んで満州国の滅亡。延いては日本の滅亡を企む。『不死鳥篇』では年老いた加藤保憲は若き体を得るために”屍解仙”の術を施し、不老不死の怪物となって甦る。そして復興を進める日本へと、新たなる野望をもって旅立つ――
2016/08/26
文庫フリーク@灯れ松明の火
中国神仙道の秘儀・体内に不死の器官を芽吹かせ、それを星の精気で養い、奇怪な骨笛から吐き出す気に乗せて、一気に古い身体から抜け出し不死者として甦る秘術【屍解】古い肉体を魂が喰い破り、人の肝を幾十と喰らうことで新たな身体に転生する魔人・加藤。満洲放送局員として森繁久彌、終戦の年に28歳で角川書店を創業した角川源義も登場。辰宮由佳里が兄・洋一郎の元へ旅立ち、残された娘・雪子の前に現れたのは、かつて愛した二・二六事件、中島莞爾の霊がとり憑いた大蔵省事務次官・平岡公威。後の名を【三島由紀夫】戦後の魔人はどう動く?
2015/08/10
zag2
日によって数ページ、数行ほど読み続けている帝都物語。ようやく第四番を読み終わりました。加藤が復活する一方で由佳理が亡き兄と天上で結ばれる、不死鳥篇の名にふさわしい展開。まだ半分残っていますが、はていつ頃、読み終えるのか。気儘にゆっくりと読んでいこうと思っています。
2022/06/02
緋莢
旧版6、12を加筆・訂正し、再編集したもの。第二次大戦が終結しても加藤保憲は未だ健在。中国の秘術により、不老不死の屍解仙(仙人)となり帝都崩壊を企んでいます。角川書店初代社長の角川源義、平岡公威、後の三島由紀夫らも登場します。後、森繁久彌も、そんなに出番はありませんが 登場。この小説が書かれた時点で、実在の存命の人が出てきたのはこれが初かな?
2019/05/05
東京湾
大戦末期の満州国で、地下より蠢く魔物ども。終戦直後の東京で、蘇り跋扈する魔人・加藤。「大東亜篇」は正直小粒な感が否めなかった。しかし黒田茂丸の再登場や恵子の目から見た満州国の姿、そして個人的に甘粕正彦のキャラが良かった。続く「不死鳥篇」では屍解によって若りし頃の姿で復活した魔人・加藤が、再び帝都を滅ぼすべく暗躍する姿が描かれる。東京には無数の魔が放たれ、いよいよ帝都の命運が本格的に危ぶまれることとなった。由佳里もいよいよ彼岸へ。これで人物もほとんど入れ替わったかな。また新しい「帝都物語」の幕開けである。
2017/04/08
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