想像力の地球旅行: 荒俣宏の博物学入門 (角川ソフィア文庫 305)
想像力の地球旅行: 荒俣宏の博物学入門 (角川ソフィア文庫 305) / 感想・レビュー
はちてん
博物学の歴史と概要が、わかりやすくコンパクトにまとめてある。まさに、想像力の地球旅行!ここから興味を持ったところへ飛んでいける。荒俣氏の著作はいつも面白い。さすが博覧強記、驚天動地の読書家愛書家。 博物学にはフィールドワークが絶対不可欠という言葉に頷きながらも、ある種の衝撃を受けた。 最終章に南方熊楠が置かれたことにニヤリとさせられる。
2012/02/10
岡本匠
これも天神さんの一箱古本市で購入した本。荒俣宏なので持っている可能性は高かったけれど、パラパラめくるとどうも記憶にない。多分持っていないだろうと判断して購入。よかった、家の本棚の荒俣宏コーナーには無かった。 博物学の通史。万物を記録し、分類し、書籍化し、蓄積する。そして、そこから新たな思考に辿り着く。カラーであれば、より楽しめるのだけれど、それは、荒俣宏の別の本を読めばいいか。
2017/06/11
misui
ロマン主義をはじめとするヨーロッパの文学がなぜああまで博物学的想像力に彩られているのか疑問だったが、その背景がなんとなくわかった。16世紀にドイツとスイスで始まった近代博物学の伝統を引いており、ダーウィンに到るまで長らく詩心を刺激する源泉の一つだったのだろう。博物学の流れや面白いトピックが拾えてありがたい一冊です。
2024/08/17
蛸
今のように学問が専門化、細分化される以前の学問である博物学。博物学は「全体への指向性」つまり世界を丸ごと把握したいという欲望によって成り立っている。啓蒙思想の元、理性によって世界の全てを解き明かすことができるとされた時代、世界中のナチュラリスト達があまりにも純粋な「知りたい!」という好奇心を胸に抱いて世界中を駆け巡った。彼らの残した成果は偉大なるアマチュアリズムの発露だ。時代が下り、学問の形式が変化しようとも博物学の持つ本質的魅力は不変なのだ。博物学愛に満ちた著者の筆致が心地良い一冊。快著。
2017/03/12
Takashi Kai
かたる語る語られる、荒俣宏によってかたられるのは当然、博物についてだ。荒俣宏について、知らぬひとはいないかもしれないが、巨人の博物学者である。そうして、帝都物語の作者であると言えば理解はわかりやすいだろう。そういった書痴がわれわれにかたるものだから、それはそれは話が飛びまくる。この本は荒俣の知が随所に込められながら、軽やかにぼくたちの脳髄を飛び越えていく。荒俣が語るのはわかりやすい博物の物語だ。この知の総動員はぼくたちに「知ること」を促してくれる。
2016/06/25
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