言葉の虫めがね (角川文庫 た 19-5)
言葉の虫めがね (角川文庫 た 19-5) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
俵万智さんの、とってもよくわかるエッセイ。高校教師を辞めて随分になるが、未だ若干の教師風を残す。前半は言葉をめぐるあれこれ、後半は短歌(古典も近・現代も)を鑑賞する。短歌は自家薬籠中のジャンルであるかもしれないが、言葉に関してもさすがに鋭敏だし、そもそも関心も深い。市井に出かけ、主として若い人たちの言葉に耳を傾け(耳をダンボにし)分析して見せる。ほとんど言語学者である。しかも、読んでいて面白い。この人はエッセイストとしてもまた一流である。
2024/03/19
さきん
敬語を重ねすぎると慇懃無礼になっていく、言葉に超、激をつける、耳をダンボにする、都会人の単語のアクセントが平板になること、石川啄木のダメな自分を突き放して冷徹に描いた短歌。昔の和歌を31音のまま現代語訳に直す試みなどなど。短歌、日本語を考えるのに良いきっかけになる。短歌のガイドブックにもなる。
2017/11/04
ちゃありぃ
俵万智さんの言葉に対する尊敬が気持ちよく伝わる本でした。万葉集とか千年以上の前の言葉を、今ここで色褪せないで読めるのって、奇跡なのかもしれない。
2013/12/26
双海(ふたみ)
本書後半の「言葉の味」は和歌・短歌を通して言葉について考えるエッセイ集。解説は水原紫苑さんです。
2014/05/25
ゐわむらなつき
まだパソコン通信という言葉が使われていた時代の一冊。2000年前後だからルーズソックスとかコギャルとか若者文化が取り沙汰されていた頃の言葉がどのように変化していったのか、俵さんの視点で見事に分析されている。短歌の英訳では、読み手に委ねられていた細かい情景もはっきりさせなくてはいけないようで、どうも魅力が減ってしまいそうな気がする。後半では石川啄木や与謝野晶子などが残した作品の解説で、こちらは元作品をきちんと知っていればもっと楽しめたんだと思う。改めて日本語の奥深さやその可能性に触れた。
2015/12/06
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