海の短篇集 (角川文庫 は 9-4)
海の短篇集 (角川文庫 は 9-4) / 感想・レビュー
新地学@児童書病発動中
物語の中に海が出てくる短編集。読みやすくて、面白い。短いながら、確実にこの世の外に連れ出してくれる傑作ばかりだ。人を喰ったユーモアを感じる「何を入れる箱」も好みだし、「成長する石」のように説明のつかないシュールな物語も面白かった。一番の好みはホラー的な「人の魚」。私が旅先で釣り上げた魚は普通の魚とは異なっていて……。ぞっとする結末で、登場人物の一人が最後に口にする言葉は怖くて、悲しい。
2018/06/03
@nk
目に見えぬ不穏な塊が、のらりくらりとした優雅な旅人に近づいてくる。決して怪しい物語に終始しないのは、普遍的な手触りがあるからか。あるいは美しい装幀のせいだろうか。歯切れ良く、穏やかでありながら適度な重さを持つ、そんな著者の文態が心地よい。/不安定な美しさ、とでも言えようか。本作は外国の海を舞台にした12篇。ラジオ小説の原稿を加筆したもであり、単行本のときのタイトルは「透明な地図」。やはり原田宗典は好きだ。似たような展開が続くこともありながら、存外に受け入れられるのは、ちょっとした贔屓目からかもしれない。
2021/10/12
Gin&Tonic
南の国の海を舞台にしたショートショートストーリー集。一篇が10ページ前後と短いので、時間が空いたときに読める……と思いきや、一息に最後まで読み切ってしまいました。おもしろかった。淡々と捻りがきいていて不思議で怖いこの感じ、星新一氏のショートショートと少し似てるかも。南洋の風土のエッセンスが非常に好みでした。「取り憑く島」「岬にいた少女」「人の魚」が個人的に良かった。
2015/02/24
ELLIE
タイトルに惹かれて手に取った本。とても読みやすかった!簡潔な言葉で、海辺や岬からの景色がイメージがしやすいからかしら。ホットコーヒーを持って、海辺でぼーっとしたくなりました☕️
2018/12/16
稽子
★★★+ ショートショートのような短編集。総じて描き方が上手い。「取り憑く島」ー短いながら、ぞっとした。「何を入れる箱」ー魂、の一言だけで読ませるセンスが良い。「成長する石」ー民話のようで好み。「夕陽に間に合えば」ータイムトラベル系SFショートショートといった趣き。「人の魚」ー少し怖くて、少し寂しい。「贋のビーチ」ーオチは読めるが、絵面を想像すると笑えてしまう。 追記:売れてるのは原田マハなんだろうけど、やっぱり個人的な趣味としては原田宗典だな。
2022/11/13
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