人の短篇集 (角川文庫 は 9-8)
人の短篇集 (角川文庫 は 9-8) / 感想・レビュー
新地学@児童書病発動中
今を時めく原田マハさんのお兄さんの短編集。妹と同じように人間くさくて、深い余韻の残る小説を書ける人だ。笑えるエッセイも巧い。この本はさまざまな人物を主人公に据えた掌集。短い小説ながら、1冊の長編を読み終った後のような満足感を覚えるものもある。「塩辛いおしぼり」が私のベスト。おしぼりと言うありふれた小道具をつかないながら、主人公の父の人生を鮮やかに浮かび上がらせる。この父親のような人物はどこかに生きていそうだし、そんな人たちが日本の社会を作ってきたのだと思う。
2018/01/16
tokotoko
たまに、こんな渋い!渋すぎる!表紙の本も読んでみました。人の短編集というよりも、「男の短編集」。しかも、お疲れの男の人が多数登場されてました。そんな方々のふとした心の隙間、時間の隙間にふと出会った不思議な出来事。そのまんま終わったり、大きな出来事(たまにコワイ)に発展したり、さまざまな結末です。この本をどんな方にオススメしたらいいのか?と考えてみました。。。「時々ドキッ!としたい人」にオススメしようと思います。
2015/07/05
ちゃんみー
むちゃくちゃショートショート。短すぎて印象に残りにくい。ドキっとするお話あり、ホッとするお話あり、少し怖くなるお話あり。いろんな感情がギュっと凝縮されてました。
2015/06/08
HIRO1970
⭐️⭐️⭐️原田さんの短編が21も載っている贅沢なショートショートでした。97年の作品なので最近の物ではありませんが、様々な人の幸福感のような物がテーマなのか、現状に不満を抱えつつも何故か夢見がちな男性の主人公達が小さな幸せを見つけたり失ったり、ちょっとホラーな結末などが次々と出て来ますが、何となく達観と言うか、無常感のような浮つかない寂しさみたいな共通の冷た目なトーンがあります。チョット暗めですが、大人向けの童話のようで楽しめました。
2015/05/07
みっちゃんondrums
とても短い試作のような掌篇集。さまざまな職業に従事する、どこかにいそうな若者を主人公に据えている。すでに諦念を覚え、現実にもがき、流される20代。作者が実際に目にした人物から、想像を膨らませて作り上げたのだろう。味わい、読後感もさまざま。付き合いの長くなったカップルの、小さな幸せ感を描いた「調香師の不幸と幸福」は、昔の原田さんらしい。「塩辛いおしぼり」の父親に、泣いてしまう。
2019/01/31
感想・レビューをもっと見る