百物語の怪談史 (角川ソフィア文庫)
百物語の怪談史 (角川ソフィア文庫) / 感想・レビュー
佐倉
百座法談など唱導や大名に重宝された御伽衆のような百物語以前の風習が若衆の肝試しとなり、近世に庶民の間にも花開く。明治以後は啓蒙主義によって貶められながらも幻想文学界を牽引する場を作り……と近世からゼロ年代までの百物語の歴史解説とブックガイドのような一冊。儀式としての百物語の作法や両面性(福をもたらすか禍をもたらすか)なども面白かったし、文学史方面では泉鏡花、柳田國男、水野葉舟らの関係と百物語の話か特に興味深い。現代編は読みたくなる本が増えた。最後に書かれていたが本書初出は三津田信三が編集だったらしく吃驚。
2023/09/29
mimm
アンソロジー、エッセイ、ブックガイドの三部構成により、百物語と本朝怪談文学史との関りを多角的に展望しようとする一冊。語り継がれる中に、警告や民俗学的な暗喩の含まれた古典の方が好みです。個人的に。
2017/09/11
ハンギ
江戸時代からあるという百物語について、概説した入門書。百物語は主に話芸の世界なので、落語家の三遊亭円朝が出てきたのはある意味当然。本の形でまとめられた百物語は邪道だと思うが、邪道でしかこの道に入れない、現代は悲しい時代なのかも。1966年に百物語の映画を大映が製作していたり、白石加代子さんの舞台も好評。小説も京極夏彦、森見が出しているそうで。意外だったのは、森鴎外、遠藤周作も百物語(怪談会)を題材とした、怪談小説を出しているとの由。小説家に怪奇ものや怪談物が好きな人が多いのは面白かったです。
2015/05/16
ハムね子
なかなかボリュームのある本でした。読みたい本が幾つか増えました。怪談史としては近代よりも近世の方が面白い。百物語に関わる本を解説つきで紹介してくれてるのがありがたい。
2010/10/09
いちはじめ
百物語とは何かという素朴な疑問にかなり真面目に答えた良書。怪談好きはともかく現実のオカルト好きだと幻滅するかも。
2007/09/26
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