この闇と光 (角川文庫 は 10-4)
この闇と光 (角川文庫 は 10-4) / 感想・レビュー
遥かなる想い
幽閉された盲目の姫君レイアの物語である。 優しい国王である父と 意地悪な侍女ダフネ …まるでお伽話のように 物語は進む。 著者は読者をどこに導こうとしているのか? 中盤からのドンデン返しの連続はお見事だが、 ミステリーというよりも 蠱惑的な お伽話という読後感だった。
2024/02/09
オーウェン
始まりは監禁された盲目のお姫様のレイアとその父親。 そしてレイアを執拗にいじめる侍女のダフネ。 この3人で展開されていくが、次第にレイアはそこから脱出することに。 ところどころ感じる違和感は中盤辺りで解消される。 なぜ監禁されていたかや、父親とダフネの存在に、レイアの正体まで。 そして終盤は何故こういうことを実行したのかの真相が語られていく。 この職業であれば論理的に納得できるのが上手いところ。
2021/03/21
藤月はな(灯れ松明の火)
盲目のレイアは父から一身の愛情を捧げられ、俗物を蔑むことと高尚なる知識と書物を教えられる。一方では監視役のダフネから敵意と憎悪に怯えて暮らす。「ずっとお城で暮らしている」のような閉じられ、甘くて昏い居心地のいい世界。しかし、レイアは俗物のいる外界へ出て行かなければならない。とレイアの森茉莉の「甘い蜜の部屋」のモイラのようだと思いました。やがて盲目だった目が啓けたことによる見えることへの喜びと次第に夢見たものが色褪せていくことは「ユージニア」の彼女を彷彿とさせ。そして、レイアは自身の光と闇に自ら、囚われる。
2013/04/26
rio
父王が失脚し森の別荘に幽閉される盲目の姫君レイア。父と召使いダフネが世界のすべてだったレイアだが、ある日その世界が瓦解するファンタジーミステリー。長閑で幻想的な別荘生活と、目が見えない恐怖感や何か裏がありそうな不安感との対比が良かったです。ダフネに連れられ町に出てからの展開が面白く、これまでの世界を壊された爽快感があります。予備知識なしで読みたい美しい物語でした。
2015/01/02
コットン
前半部分はファンタジーと現実の境界線を巧みに描く。草枕が出たあたりから今ひとつ乗り切れなく残念。
2013/03/14
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