アクアリウムの鯨 (角川文庫 た 29-4)
アクアリウムの鯨 (角川文庫 た 29-4) / 感想・レビュー
巨峰
今から25年近く前の80年代終わりに書かれた谷村志穂さんの処女長編。処女作という言葉に相応しい精緻な文章と硬質な鉱石を触るようなどこか冷たい肌触りのある作品。研究室の助手を務める25歳の女性主人公は、ダニを研究しているどこか世間から離れた助教授を慕っている。同じく彼を慕う女性編集者があまりに自分勝手で幼稚なのが気になるが、それはそれとして主人公を慕う高校生ダイバーを含めてなかなかな理系恋愛小説になっていると思う。でも、人間は自然の動植物よりもやはり狡いんだよね。みんなが少しづつ狡くてどこか哀しい。
2013/12/18
yamakujira
伽代子はなぜ仲本に惹かれるのか、なぜ拓也に体を許すのか、女心がわからない。ストーリーよりも、研究室のダニの描写がよかった。だから、1週間の無人島生活での描写を期待したら、やっぱり生き物がいっぱいいて楽しいな。伽代子は幸せを諦めたのか、これが彼女にとって幸せの形なのだろうか。 (★★★☆☆)
2014/09/17
fox
★★★☆☆ 『海猫』を読んだ際に「淡白な文章を書く人だなぁ」と感じたが、はたしてデビュー作は、もはや昆虫観察記録のごとくの淡白さ。元フリーライターとの解説に納得した。透明感のあるブルーの表紙と呼応するように、淡くて掴みどころのない、それでいて緻密な感情が交錯する小説だった。嫌いじゃない、かな。若い女性の主人公がどうしてああも世捨て人のようになってしまったのかは、少し謎。
2014/01/05
みのむし96
何冊目かの谷村さん。私とは、世界観がちょっと合わないかなぁ。
2015/07/02
kotakota
伽代子の仲本先生への憧れ、いとおしさがすごく伝わってくる。仲本先生の魅力…何なんだろうな。動物や海の描き方が素敵。
2015/03/20
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