追憶の一九八九年 (角川文庫 た 30-2)
追憶の一九八九年 (角川文庫 た 30-2) / 感想・レビュー
うりぼう
ブックオフで105円で購入。1989年、G38歳の重要なものを省き、瑣末なことを残した記録。競馬と「ペンギン村」とネコとNのピンクハウスの話に終始。競馬ファンには、懐かしくて垂涎物かも。リブロの田口さんが、この本にポストモダンの全てがあると書いていたが、田舎者の私には謎のまま。当該年の事件は、天安門と宇野首相辞任が記述されるのみ。でも、JICC出版社との「余白に書く」は面白い。私達福祉の世界も講師依頼をするとき、講師料の話をせずに頼む。お金の話が妙に気恥ずかしく、遅れた業界である。Nさんの献身ぶりに感動。
2010/12/19
佐島楓
高橋先生のファンなので面白かった。競馬というかギャンブル全般に拒絶反応が出る体質なので、そこは飛ばして読んだが、そういえばあの頃(私幼女でしたが、記憶力はよかった)オヤジギャルという言葉が流行ったんだったか……。世相のあれこれも思い出したりして(昭和天皇崩御に始まり、騒然とした年でしたね)、島田雅彦が出てくるたびに興奮したりして(これは余計か)……。景気が良かった頃の平和だった日本の記録。
2018/09/22
メタボン
☆☆☆ 競馬とピンクハウスの話題が半分。昼夜がほぼ逆転の生活。多読家のはずだが、いつ本を読んでるんだろうって不思議に思った。本を買うときは、その量が半端ない。ある意味うらやましい日常。
2022/01/05
踊る猫
激動の年を「ポストモダン」文学(!?)の旗手はどう生きたか。読んでみると、執筆も丹念にしているが基本的には抱腹絶倒の夫婦関係とゲーム、本の購入と読書、そして競馬で過ぎていったことが伺える。今読むと、なるほどもう少し毒が欲しいようにも思うけれど日々の単調な繰り返しが段々それ自体ひとつのミニマル・ミュージックのようなうねりを生み出すことに気づく。当事者には悪いが印税をめぐって出版社と訴訟沙汰になるところが一番面白かった。喧嘩は概して見る分には楽しいね(だから喧嘩ばかりして過ごしていた荷風の日記は面白い……?)
2019/11/13
緋莢
<「断腸亭日乗」以来の(?)の新しい「日記」文学の誕生!!>と、内容紹介にはありますが、さすがに大袈裟なんじゃないかな…1月に昭和天皇が崩御し、新しい元号が「平成」になった、6月に美空ひばりが、11月には松田優作が死亡、8月には宮崎勤が逮捕された1989年(この本の巻末に年表がついています)そんな1989年(と、1990年1月5日まで)の日記が収録されています。時々、日記を代筆しているNこと高橋直子は、この当時の高橋源一郎の妻で、文庫版あとがきに書かれていますが、この後、文筆業界デビューしたそうです(続く
2023/03/07
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