くるぐる使い (角川文庫 お 18-5)
くるぐる使い (角川文庫 お 18-5) / 感想・レビュー
chiru
オーケンの小説はグミチョコ以来、数年ぶりに読みました。自らを外道と名乗る大道芸の男に買われた“気のふれた娘”。この設定だけでも、いかがわしさが半端なく漂う。友人とも親子とも恋愛ともつかぬ、強いていえば"共犯関係“に近い関係。それしか選べなかった人生。『泣き死ぬ』という言葉が余白をすべて埋め尽くすように強いインパクトを残す。似た作品があると思ったら、イタリア映画の「道」でした。不憫な娘の、哀しさと背中あわせの短く儚い幸せがやるせない。そして不器用な男の選んだ「道」もまた切なかったです。★4
2021/05/30
YM
読友さんにおすすめいただきました。超常現象青春小説!?5つの短編どれもぶっとんだ設定で、シニカルだしブラックな笑いもあるんだけど、最後はしっかりセンチメンタル。「キラキラと輝くもの」「くるぐる使い」と「憑かれたな」がおもしろかった。オーケンの書く女の子って無垢で、あぶなっかしくってかわいいんよなあ。
2014/12/30
『よ♪』
面白い。オーケン初期作品はいわゆる電波系。五つの短篇。ザワつく、ヒリつく。心をそっと覗いたその先の歪。凶器と狂気の綺譚な奇譚。心にはきっと色がある。闇よりも黒。夕焼けより赤。極彩色?きっと向こう側の心の色。ナキシネナキシネナキシネ、見世物小屋の世界──"くるぐる使い"。禁じられた恋のトラウマ──"キラキラと輝くもの"。現代のエクソシスト──"憑かれたな"。いまフツーに出そうとしたら自主規制とか掛かるよね?読み手を選ぶなぁ…。トンデモ話だけどプロットがしっかりしてて破綻がない。好きなひとにコレ、絶対お薦め。
2021/05/03
アナーキー靴下
再読。短篇5作品に加え、糸井重里との対談収録。解説は綾辻行人氏。これもまず高橋葉介氏のカバー絵に、息を呑みながら手に取った。やはり「この人あたしをわかってる」と。内容は夢野久作の小説を現代風にして、トンデモ系オカルト趣味を追加したような。後味が悪く、そして何だか泣けてくるような、胸を突かれるような苦しさが込み上げてくる話が多い。表題作、あとがきで著者はある映画を下敷きに、と書いているけれど、私はこれが一番夢野久作に、というかある作品に似ているなと思う。江戸川乱歩の作品をモチーフにした「春陽綺談」も好き。
2021/01/31
なつ
オカルト、SF、エログロもろもろが混ざった毒気のある世界観。その核となるのは心に孤独や闇を抱えた少年少女たち。幻想と思春期特有の葛藤を織り交ぜ、物語は狂気に満ちながらも感傷を帯びていきます。不気味で切ない。まさに超常現象青春小説。物語の仕掛けはもちろん、「くるぐる」とか「ジグジグ」といった言葉の発想もエキセントリックで絶妙。星雲賞を受賞したのも納得です。
2020/01/24
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