火の鳥 1 黎明編 (角川文庫)
火の鳥 1 黎明編 (角川文庫) / 感想・レビュー
MICK KICHI
猿田彦のキャラクター、鼻の由来、運命に翻弄され、苦悩する人物像が誕生した事が輪廻転生のシリーズに息吹を与えた。古代日本の姿を、豊潤なイマジネーションで絵描き切った筆力に圧倒されるが、ある意味凄惨で殺伐とした場面の連続で、手塚治虫の絵の力がなければ成立しない物語だと言える。アニミズムと征服蹂躙が中心の世界にあって、生きる事の意義は命を繋ぐ事でしかない、究極の回答がそこにある。
2020/05/10
yoshida
再読。火の鳥黎明編。不老不死の力を持つ火の鳥の生き血を巡り、クマソの国、ヤマタイ国、高天原族が争う。ヒミコやニニギ等の権力者の欲望で多くの一般人が犠牲になる。ここにも手塚治虫氏の一市民から見た反戦の意志が見て取れる。ストーリーも古事記を参考にスケールが大きい。物語の終盤、ウズメはニニギの妻になるよう要請されるが断る。女性なりの方法で復讐を誓う。火山のため深い縦穴に閉じ込められたグズリ夫婦と子供達。長男・タケルが縦穴を登り新しい世界へ足を踏み出す。タケルと火の鳥とのやり取りが感動を生む。
2015/01/01
ともかず
時の流れをひしひしと感じる一冊でした。老けていくキーパーソンたち、死んでいく者たち、そして産まれ生きていく者たち。手塚治虫独特のメタ発言が多くて面白い笑。ヒミコの時代の話なのに扇風機とかアイスクリームとかいうワードが出るのは堅苦しくなくさせる役割もあるのかな。
2017/12/10
いおむ
随所にはさまれるマンガ的な表現は自分的には世界観にひたる意識を一瞬で覚まさせてしまいどうも手塚先生の作品はなじまない。しかしやはり名作、作品からつたわる迫力は凄まじい。続きはできれば読みたい
2016/04/02
can
2巻→1巻へ逆戻り。今回はイザナギや卑弥呼が登場する古代の日本が舞台。巻ごとに違った背景で描かれていることに単純に驚き。ナギと猿田彦の親子愛や、ヒナク一家の様子などを軸に話が進みます。侵略によって人がたくさん死んで、その上に新しい生活ができて、また侵略の繰り返し・・・そういった時代だったからこそなのか、命を産み出せる女性が力強かったです。ヒナクとかウズメが。そういや火の鳥もメスか。生きている喜びだけでは飽き足らず、更なる富や幸福を求めてしまい不幸になる。人間って、動物とそこが違うから厄介なんですね。。
2016/01/20
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