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火の鳥 4 鳳凰編 (角川文庫)

火の鳥 4 鳳凰編 (角川文庫)

火の鳥 4 鳳凰編 (角川文庫)

作家
手塚治虫
出版社
KADOKAWA
発売日
1992-12-08
ISBN
9784041851043
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火の鳥 4 鳳凰編 (角川文庫) / 感想・レビュー

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MICK KICHI

「鳳凰編」はシリーズで一番最初に読んだ作品。10代の頃、COMを父親が買って来たのだと思うが、勧められたわけでは無く、自然に手に取っていた。運命と言うのかもしれないが… そして読んでしまった為に、死生観、宗教観が一気に押し寄せて来てトラウマになった記憶がリアルに想起される。黒手塚治虫の世界はブラック・ジャックで試運転はしていたものの、少年期に扉を開くには、試練の書であった…。我王と茜丸をめぐる善悪の境目、輪廻転生を超えて語りかけられる生命への問いが、未だに自分の中に響いている。

2020/04/29

can

片腕・片目を生まれてすぐ無くした我王は、夜盗となって人をたくさん殺す。偶然出会った仏師・茜丸の片腕を悪戯に傷つけ、使えなくする。我王は人間は殺してもテントウムシは殺さなかったことで、命の重みを考え、彫刻を掘り始める。茜丸は片腕で火の鳥を彫り上げるが、権力に触れ己を堕落させていく・・・二人のラストシーンは完全に善悪が入れ替わっていて言葉が出ない。我王を立ち直らせるきっかけをくれた上人も、仏教を政治的なことに使われる世を悔いて自ら死を選ぶ。怒りと悲しみの生を送る人間を、自然は全て包み込む。「美しい・・・」

2016/06/05

yoshida

高校以来の再読。火の鳥ではこの「鳳凰編」が一番好き。鳳凰編では仏師である茜丸と我王が主人公。政治と仏教が結び付き、大仏殿を作るも民衆は救われない。野盗であった我王は速魚という女と暮らすが誤解から殺してしまう。速魚の正体は我王が救った天道虫だった。良弁上人に救われ、流浪の末に仏師となる我王。茜丸も東大寺を造る仏師。帝より二人に鬼瓦の競作を命じられる。八百長で勝つ茜丸。権力と結び付いた茜丸は輝きを失なっていた。茜丸は正倉院の火災で死に、再び人間に生まれ変わる事は出来ない。我王の悟りを開く様に引き込まれる。

2014/12/31

芽生

時間と空間をここまで超越して生命の営みを眺めるスケールの拡がりに、魂の深奥が揺さぶられる。不思議な糸に導かれ、魂を芸術に注ぐようになる我王と茜丸、そこに寄り添う速魚とブチ。艶めかしい女性性を持つ火の鳥は、時空を超えてあらゆる種の生命を包み込む大きな存在として描かれる。神話的な基盤に立ちながら、生命、宇宙の普遍へと近づこうとする手塚の熱が、物語と絵の細部に宿る。種の遺伝子は、あらゆる運命を辿って死んでゆくつかの間の生に宿り、時を超えて連綿と繋がっていく。たしかなことは、きっと、火の鳥──いのちしか知らない。

2017/10/12

田中

輪廻転生、手塚氏の仏教解釈、何のために生きるのか?、奈良の大仏と、壮大なテーマに圧倒されっ放しです。「心の中に本当の仏がつくられる」(P224)に感動です。

2014/08/09

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