KADOKAWA Group

Facebook X(旧Twitter) LINE はてブ Instagram Pinterest

狗神 (角川文庫)

狗神 (角川文庫)

狗神 (角川文庫)

作家
坂東眞砂子
出版社
KADOKAWA
発売日
1996-12-18
ISBN
9784041932032
amazonで購入する Kindle版を購入する

狗神 (角川文庫) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

徒花

うーん、まあまあ。狗神の血筋を引く一族の怪奇小説。帯コピーで煽られていたほど「驚愕の一冊」ではなかったなあというのが正直な感想。特にラストシーンがなんともB級ホラー映画のようになってしまっていたのがちょっと残念だった。心霊的な怖さを楽しむというよりも、「田舎コミュニティ」の怖さが強い。あと、ドロドロの極みのような愛憎入り混じった男女の恋愛劇を楽しむ作品だろうか。つまらなくはないけれど、しいて人にオススメできるほどでもないかな。

2018/10/29

YM

読友さんの感想に惹かれて。僕はホラーが苦手だけど、四国に住んでたことあるし、犬だし、表紙がいい感じだしいってみるかと手にとったら、さすが村社会、すんごいドッロドロでおもしろい!自分を抑えて、一線引きながらの駆け引きと、田舎のジメジメした空気感がかなりエロい。美希が吹っ切った瞬間は爽快だった。でも晃の「関係ないよ」はグッときたなあ。色々乗り越えて、本当の意味で"ピュア"な状態は美しいな。みんなが恐れるわけだ。

2015/01/08

Tetchy

なんとも業の深い物語だ。日本の田舎の土の匂いまでも感じさせる文章力はさらに磨きがかかっていると感じた。美希の境遇に同情せざるを得ないような形で物語は進んでいくのだが、次第に明かされていく彼女の過去のすさまじさには読者の道徳観念を揺さぶられる事、間違いないだろう。この坂東眞砂子という作家は、人間が正視したくない心の奥底に潜む悪意というものを眼前に突き出すのが非常に上手い。「これが人間なのだ」と決して声高にではなく、静かに読者に語りかける。人間が獣の一種なのだという事実を突きつける。

2009/10/23

おかむー

15年ぶりぐらいの再読でおぼろげな筋ぐらいしか記憶になかったのでかなり新鮮に読めた。『よくできました』。ジャンルとしてはホラーに分類されているけれど、実際にはほぼオンナの情念をメインに描いた物語で、ホラーと呼ぶには恐怖感が不足していたね。むしろ長きに渡って坊之宮家に潜み力をたくわえた【それ】が一族を生贄にして蘇った物語として見れば、ラストの先にこそホラーな展開が待っていると期待もできるのではなかろうか。細やかで色彩豊かな情景描写が見事なぶん、55歳とまだまだこれからという年齢で作者が逝去されたことは残念

2014/03/06

エドワード

高知の山村で独り和紙を作る美希は、狗が憑くと怖れられる坊之宮家の女。「年齢も家も関係ない。僕たちの気持ちだけが大事だ!」と言う、高知市内から村へ赴任してきた中学教師の晃と恋に落ちる。陰湿な村人の視線と、いつの世も変わらぬ男女の恋愛がからみあう。都会へ出れば迷信などない現代にも闇夜は存在する。美希のセリフ「私はこの土地が好きながやと思う。ここの人やない。ここの空気が好きながよ。」これが普通の人の気持ちだな。イヤらしい人間関係さえなければいい所なのになあ…。本作にも能楽「鵺」が出て来る。皆さん、鵺がお好き?

2016/03/16

感想・レビューをもっと見る