旅涯ての地 上 (角川文庫 は 17-5)
旅涯ての地 上 (角川文庫 は 17-5) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
時は13世紀。ヴェネツィアのポーロ家(あのマルコ・ポーロの一族)のタルタル人(東洋人)奴隷である夏桂の語りを主軸に物語は展開してゆく。不穏な人物がヴェネツィアの街を徘徊するが、やがてそれは聖杯、そして異端カタリ派へと際限なく拡がりを見せてゆくのである。小説は細部に凝っており、時代考証もなかなかに綿密であるように思われる。そのあり様はウンベルト・エーコを想起させないでもない。少なくても、歴史小説としてのリアリティには細心の注意が払われていると言えるだろう。下巻の、そして全体の終幕は予想もつかない。
2019/06/10
財布にジャック
カタリ派の出てくる小説を読み続けて、セオドア・ローザック、佐藤賢一、帚木蓬生、ケイト・モス、そしてこの坂東さんの作品で遂に5作品目になりました。ヴェネチアが舞台で主人公がジパングの血を引く奴隷という魅力的な設定、更にマルコ・ポーロ一族やカタリ派、聖杯まで絡み間違いなく歴史ロマン大作でした。第一章はかなり時間がかかりましたが、第二章からはページをめくる手が止まりません。夏桂の運命やいかに!
2011/08/19
そら
読友さんのおすすめで読みました。とっても面白くて読んで良かったです。マルコポーロ家の奴隷男が主人公。13世紀のイタリアの奴隷制度、キリスト教の宗派同士の争い、市井の庶民の様子、貿易商たちの何年もかかる船旅、など、、興味津々(^^)。異邦人、異端、伝道師、「聖杯」、山賊、公開処刑。。現代から見れば異世界ファンタジーのような話の展開ですが、世界史として十分ありえる話なんだろうな。続きが気になります!
2019/04/20
白玉あずき
堀田善衛の「路上の人」以来、カタリ派については苦しいが読むべきものと思っている。イデオロギー、宗教の狂気、暴力、異端審問のおぞましさよ。人間のまれな良き面、多くの悪い面がむき出しに表れるのは優れた戦争文学と一緒だ。ましてあのマルコポーロが登場、舞台はヴェネチア。夏桂を主人公とすることで、西欧キリスト教社会を相対化する視点が得られて、読んでいて楽しいったらありゃしない。青い女のイコンとはいったい何か? 滅びの予感満載の下巻へワクワクです。
2019/08/17
青葉麒麟
登場人物の名前を覚えるのに随分と手こずった(>_<)ベネチアの風景描写がとても良かった。特に街が浸水してボートで渡る場面が好き(^ー^)
2012/06/01
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