静かな黄昏の国 (角川文庫 し 31-4)
静かな黄昏の国 (角川文庫 し 31-4) / 感想・レビュー
あつひめ
タイトルの美しさが作品の恐怖を引き立たせている。これからの日本を・・・そして地球を示されたような気がする。ありえないようでいて、知らないうちにその波にのまれてしまいそうな恐怖を覚える。こうして何事もなく読書三昧に明け暮れて平和な暮らしをしている反面、足元の砂がサラサラと崩れるようにこの平和が失われていく。その時私はどう対処できるだろう。今、暮らしの中に踏んではいけない地雷のスイッチを埋めながら暮らしているのかも。篠田さんの筆には、本当に起こりうる予言なような力がある。
2013/03/25
Take@磨穿鉄靴
面白い。「絹の変容」を読んでから篠田ファン。娯楽小説はこうであって欲しい。これは短編集だけどどれも楽しめた。表題作はちょっとシャレになってない感あり。衰退した日本の惨めな状況が妙にリアル。多分そう大きく変わらない未来がこのままだと訪れる気がする。ホワイトクリスマスはもう少し違うエンドを期待していた。想像していた「このルートはありがちだから無いな」と思ったエンド。世話焼きの元カノの思惑が絡んでれば良かった。★★★☆☆
2019/05/10
Take@磨穿鉄靴
再読。表題作が読みたくて本棚から取り出す。まず表題作から読む。前回読んだ時よりリアリティが増す。コロナで経済が致命的なダメージを受けていたりしている現状から作中の息苦しい閉塞感も以前より強く感じた。登場人物は静かに黄昏れててくれたけどリアルならもっと混乱して取り乱すのではと思われる。表題作以外も良作揃い。今週来る友に貸そうと思う。★★★★☆
2020/08/06
Take@磨穿鉄靴
定期的な再読。読むたびにこのストーリーがリアルに近付いて、いや現実の方がこのストーリーに近付いていくことを感じる。2002年に刊行となっている。その時点ではシンプルなSFだったのかもしれないが少しずつ現実味を帯びてきている。日本はこのまま弱体化していくだろうしこのストーリーを笑い飛ばせるような大逆転も起こりそうもなく思える。今回気付いたことはさやかが自分の最後をデザイン、実行した時に夫はまだ生きていた点。前に読んだ時はあまり気にならなかったけど夫より先に黙って実行する意味を今回重く受け止めた。★★★★☆
2024/09/19
RIN
ここでレビューを見かけて読んでみた94~2001年に書かれたホラー短編集。才能への渇望、モノや人への執着がもたらす狂気をテーマにしたものが多く、誰にもあり得ないとは言えない怖さがある。が最も秀逸なのが系統の異なる表題作。これは本当に本当に怖い。10年以上昔にこのテーマで書かれていたことも怖さを助長する。原発を推進することも脱原発で廃炉にすることも等しく恐ろしい現実を伴うことを、原発を始めてしまった日本を含む国々は考えなくてはいけないのだ、と、おそらく書かれた時点では想定していなかったであろう感想を持った。
2012/08/31
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