純愛小説 (角川文庫)
純愛小説 (角川文庫) / 感想・レビュー
じいじ
「銀婚式」から2作目の篠田節子の恋愛小説。この作家、いいですねぇ。一本骨太の芯が通っています。2作目で小池真理子の恋愛小説と比べるのは早計だが、技巧的にも面白さでも拮抗していると思います。本作は大人の濃密な純愛をテーマにした短篇集。4編とも人物設定、味付けが違えてあり面白い。浮気、不倫、性愛も書かれているが、根底は著者が描きたかった「純愛」なのだろう。表題作:男が求める中身のある女性について、篠田さんはよくわかって描かれているのには脱帽です。「不倫に時効はない」はけだし名言。
2017/03/13
ベイマックス
4作からなる短編集。大人の既婚者の『恋』。不倫・不貞とくくってしまえばそれまでだけど、若年層にはない、重苦しくも耽美な生死をもかけた『恋』に、怖さも感じるも、人生の濃密さも感じる。平平凡凡もよし、波乱万丈もよし。出会いや、うごめく心理のタイミングで人生はあらぬ方向に転がっていったりもする。
2020/10/20
巨峰
実は反純愛小説。本人にとっては、純愛であっても、周りはけっしてそうはとってはくれない理。まあ、恋愛というのは徹頭徹尾、二人の間でしか交わされない感情に似たものであるから仕方ないか。読みごたえはあったが他者をコントロールしょうという登場人物が多くてそれは好きではないな。優位的立場から物をみる、そういう思考は好きじゃない
2012/01/07
優希
成熟したからこそ逃れることのできない「恋」。苦くて甘い短編集でした。
2022/08/03
エドワード
篠田節子さんには毎回うならされる。この四つの短編も、アラフィフ世代の心の奥にグサグサッとつき刺さる。よくここまで描けるもんだね。テレビドラマや小説の中の<愛>なんて絵空事と思っているでしょう。でも自分の身に本当に起きたら?主観と客観の間にあまりの落差があったら?の「純愛小説」と「蜂蜜色の女神」。兄弟姉妹はどうあっても心が通じない。題名の由来がえっ?な「鞍馬」。大学生の息子に恋人が出来た時、男親と女親はこうも反応が異なるのか?の「知恵熱」。事実は小説よりも奇なり、ということが実際にあるのが現代日本の怖さ。
2015/06/17
感想・レビューをもっと見る