硝子のハンマー (角川文庫)
硝子のハンマー (角川文庫) / 感想・レビュー
W-G
短編集を読む前に復習再読。貴志さんでなければ、特にガチガチの本格作家の手に掛かっていたら、そこそこの凡作で終わっていたかもしれない。トリックは面白いが、その"見せ方"によっては驚きが減じられかねない。色々と「上手いなぁ」と思わせる作り込みがされており、長さを感じさせない。主役コンビも魅力的。全うな本格作品にも関わらず、様々な点が現代的であり、何気にあまり無いタイプなので、どんどん新作を出して欲しい。しかし、現代的=風化が激しいという面もあり、特に防犯関連の情報を仕入れ続けるのはしんどそうだ。
2016/09/25
サム・ミイラ
非常に変わった構成のミステリー。少し戸惑ったがこういうやり方もあるのかと感心した。第二部では犯人の動機や心理状態、犯行への緻密な計画と準備が丁寧に描かれ、同時に作者の罪に対する考え方や伝えたい事も明確になる。殺してしまったら終わり。これはあの名作「青の炎」に共通するテーマなのだと気づく。取り返しのつかない事をした後悔や変わってしまう日常、怯えながら生きる息苦しさを再びしっかり味あわせてくれる。探偵役の二人がとても魅力的。画期的なトリックとなる程と思わせるタイトルも秀逸な本格密室ミステリーの傑作。
2014/10/04
青葉麒麟
まさか○から殺すとは。【榎本】のキャラ設定が良い。
2011/08/03
zero1
六本木のビルで介護サービス会社社長が殺された。密室の中犯人はELVの暗証番号や監視カメラなどをどのように潜り抜けたのか?介護ロボットが疑われるが、人に危害を加えない。弁護士の青砥純子は防犯コンサルタントの榎本と事件解明に乗り出す。この榎本が曲者で、純子が出したアイデアを潰していく。流石に貴志は実力者。長いが構成が上手く読ませる。環境が犯罪を誘発するというのは理解できるが、動機がやや弱いか。05年推理作家協会賞受賞作。「榎本シリーズ」としてこの後三冊出ている。12年「鍵のかかった部屋」の題名でドラマ化。
2019/07/25
遥かなる想い
2005年度日本推理作家協会賞。密室殺人の謎を追う前半はややたるいが、後半犯人の視点で描写する人生は重く迫力がある。女性弁護士青砥純子よりも、相棒の榎本径の方が人物造形がよい。
2010/12/12
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