怖るべき子供たち (角川文庫 (コ2-1))
怖るべき子供たち (角川文庫 (コ2-1)) / 感想・レビュー
kaizen@名古屋de朝活読書会
1つ一つが詩で、1つ一つが音楽で、1つ一つが舞台で、1つ一つが絵画なのだろう。ピカソとサティを足して、2で割ったのがコクトーの狙いなのかも。素のまま理解するのではなく、素のまま聞き流すのがいい。できればフランス語の朗読で。東郷青児が翻訳をしているのを知りませんでした。解説小佐井伸二。発見角川
2013/08/14
nakanaka
正直に言って非常に読みづらく難解であると感じました。主要な4人の男女の心情が理解できなかったということなのかなぁ。世界的な名作なのかもしれませんが私にはまだまだ早かったようです。実際は違いますが、ポールのダルジュロへ、またジェラールのポールへの同性愛やエリザベートとポールの近親相姦にも似た歪んだ姉弟愛のせいか暗くて重たーい雰囲気が終始纏わりついてきました。死という最悪の結末で幕を閉じるということもあってか後味も悪くまさに悲劇です。もっと経験を積んでから再挑戦してみます。
2016/04/09
催涙雨
その多彩さが有名なコクトーだが彼の作品に直接手を触れるのは初めてだし、何よりあまりよく知らない。無邪気な邪気とでもいうべきか、純粋さと暗闇がない混ぜになった形容しがたい様相を呈し続ける作品だった。稚気と退廃と死のイメージが常に漂っている。覚書にある「怖るべき子供たちの世界」に書いてある解釈がおおむね正しく要点を捉えているのだろう。それ以上のことをわたしには思い付けない。
2018/11/22
安南
阿片中毒療養中に執筆された本作は小説それ自体が、麻薬のレトリックに思える。劇薬。読み方を誤ったら命さえ危うい。「まるで二つの揺籃に入れられた双生児のよう」なエリザベートとポールの姉弟は「生まれながらにしてその血の中に信じられぬような物質を持っている」故に自由にトリップ可能であり阿片のように周りの者を魅了し虜にする。無秩序で刹那的な夢の阿片窟の倨傲なる支配者である彼らは、子宮のような小部屋でしか生きられない永遠の子供でもある。大人になることと死ぬことがイコールで結ばれた二人のなんと輝かしく、美しいことか。
2014/11/01
アナーキー靴下
高校時代に読み、退廃的で破滅的で、成長を否定するような物語に強く共感した。再読で姉弟に一切の甘えがないことに気付いた。そこに善悪はなく、責任もなく、誰に許してもらう必要もない。甘えは大人が子供を躾るための手綱であり、それがないからこそ「怖るべき子供たち」なのだと。似て非なる…私との違い。私は今も子供で、傍観者だ。お客様だ。何故幸福への努力ができず逃避してしまうのだろう。一歩一歩を歩まぬまま、何故いつも奇跡に助けられてしまうのだろう。一度きりの人生を生きているにしては、ぼんやりし過ぎている。まだ部屋にいる。
2021/01/02
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