マリー・アントワネット 上 (角川文庫)
マリー・アントワネット 上 (角川文庫) / 感想・レビュー
ぐうぐう
ツヴァイクの名作伝記。と言うよりも、日本では池田理代子が『ベルサイユのばら』を描くきっかけとなった作品と呼ぶほうがしっくりと来るかもしれない。高校生の池田を魅了した(必ずマリー・アントワネットを主人公にした漫画を描くと決意するほどの)この名作は、現在読んでもなお、その力を失わず、色褪せず、読む者の心を鷲掴みにする。マリー・アントワネット、ならびにルイ16世に対してツヴァイクは、一定の同情を示しながらも、終始一貫して辛辣な評価を貫いている。(つづく)
2019/12/18
坂城 弥生
アントワネットの母・マリア・テレジアの手紙での叱責、思いやりetc.それがもっと早くアントワネットの心に響いていたなら結末は違っていたのだろうか…
2021/10/13
ころこ
著者のツヴァイクの名前は本書で初めて知りましたが、色々調べると他にもバルザックを書いており、著者のことの方が随分気になってしまいました。著者についても、本書についても単純すぎるきらいはありますが、それは『ベルばら』の影響関係が逆転しているようにみえてしまう錯覚だからでしょう。読者の先入観を排するとしていながら、興に入った文章には著者の先入観が多分に混入している作家然とした本のようです。何が実証的か、物語的かは判断しかねますが、少なくとも本書の功績は誰でも知っている歴史上の女性なのは間違いありません。
2021/09/16
紅香@本購入まであと9冊
宿敵フランス、ブルボン家と永遠の絆の証を担うためオーストリア、ハプスブルク家、14歳のマリー・アントワネットが国境を越える。。敬愛する中野京子さん訳なので面白いに違いないと手にする。期待通り、面白い。小説の形式ではないけれど、ひとつひとつの経過、心理描写が分かりやすい。運命的な筆力に引き込まれ、結末は知っているのにドキドキする。読めば読むほど王妃の立場としてのアントワネットの行動に悲しくなってしまうけど、誠実な献身的なフェルゼンが登場してきたことにより、何だか報われたような気がする。一挙に色めく♪次巻へ。
2015/07/27
tosca
フランス王妃ではなく庶民の女性であれば問題がなかっただろうに、読書が嫌い、深く考える事が嫌い、着飾る事や遊ぶ事は大好き、作者ツヴァイクは彼女の凡庸さ、精神領域の狭さを冷静な目で描く。母親であるハプスブルク家女帝のマリア・テレジアからの度重なる手紙が興味深い。「本を読め」「慎ましい服装をしろ」「夫を馬鹿にした態度を取るな」「悪い友達を作るな」等、娘の軽率な言動を危惧し王室の将来を心配していた様子がよく分かる。地方や臣民を訪れた事もなく国民に対する責任感を一切持たない統治者。革命は起こるべくして起きた。下巻へ
2023/04/23
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