罪と罰 上 (角川文庫)
罪と罰 上 (角川文庫) / 感想・レビュー
miho
【2022-041】【図】社会人になったばかりの頃、同僚に文学女子がいて、その子に勧められて読んだときは、登場人物の呼び名が複雑過ぎて挫折しました。あれからだいぶ月日が経ち、重い腰を上げて再挑戦!当時購入し、そして手放したものがどこの出版社のものだったかは失念しましたが、今回はびっくりするほど読みやすい!呼び名はやっぱりちょっと戸惑いますが、それよりも先が気になる!(大方のあらすじは知ってはいても)この勢いで下巻へ…!
2022/04/20
Shinobi Nao
『罪と罰を読まない』を読んだら俄然やる気が出て再挑戦。何しろ憶えにくい、故に挫折につながる長い人物名を、ラスコ、マメ父、修造、と『罪と罰を~』のみなさんがつけたあだ名を採用し、時に数頁にわたる長台詞で「この人誰だっけ?何を長々と語っているんだったっけ?」と見失いそうになっても深刻にならずとにかく前進して何とか読了。一カ月くらいかかってしまったけど、しをんさんが主人公を「イケメンだけどしょうもない奴」扱いしていたことが頭から離れず、悲劇というより喜劇を読んでいるように楽しく読みました。この調子で下巻へ!
2016/05/24
東京湾
「たった一つの生命のために、数千の生命が堕落と腐敗から救われるんだぜ。一つの死が百の生に変わるんだ―」貧窮する青年ラスコーリニコフは、己の論理に則り高利貸しの老婆を殺害するが、彼の神経はやがて著しく摩耗していく。人間をただの素材に過ぎない『凡人』と才能を有しあらゆる権利を許される『非凡人』に二分する思想、これがラスコーリニコフを理解するにあたり核となる。殺人者の心理に恐ろしい程肉薄し、その錯綜が家族や友人を巻き込むことでより細密に描かれていた。意識の流れを巧みに抽出した文学であり、濃厚な心理小説でもある。
2019/09/19
sashi_mono
わが読書歴史上、もっとも積読歴が長く、買い求めてからゆうに二十数年が経つ本書。ロシアW杯が終了するまでに、何とか完読することができた。上巻では、老婆を惨殺してからのラスコーリニコフの克明な心理経過にぐいぐいひきこまれた。なお、明日のフランスVSベルギー戦は、本書の舞台と同じく、ペテルブルクで行われる。
2018/07/07
蛸
三人称で綴られる小説ながら、モノローグの多用や登場人物たちの長台詞が特徴的で非常に雄弁で多声的な小説という印象を受けた。登場人物たちの「声」と「声」のぶつかり合いは、完璧に共鳴することなく小説空間に反響する。このコミュニケーションの微妙なズレが個々の登場人物の輪郭を明確にしているように思われた。 ラスコーリニコフの犯行には(運命的と言えるほどに)偶然に偶然が重なっており、殺人が彼の自由意志に基づいたものではないかのような印象を与える。そのことがこの事件を運命的、神話的なものにしている。
2021/11/11
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