獄中記 (角川文庫ソフィア 237)
獄中記 (角川文庫ソフィア 237) / 感想・レビュー
ケイ
何故投獄されたのか。それは罪なのか。それについて彼はどのように認識していたであろうか。獄中でふける思索が偏っていくことに心がいたむ。彼が愛する人に打ち明ける心の葛藤は美しい。しかし、この苦難を昇華させて文学とするのは大変な困難だったろう。平易な読みやすい現代語訳も出ればいいなと思う
2020/03/16
yumiha
同性愛の罪で懲役2年の獄中生活。その獄中から同性愛の相手へ出した書簡を一部省いてまとめたもの。名声から汚名へ。獄衣をまとい手錠をかけられたままプラットホームで獄舎行の列車を待つワイルドを、人々が嘲笑する。耐えられそうもない状況。それでもワイルドは、悲哀こそ芸術の根源だと語る。そして、ギリシア神話を否定し、キリストの言動からこの世の真実を掴もうとする。いわゆる教会の形式や儀式ではなく。その痛ましいほどのワイルドの声を聴いていると、死の前日に洗礼と終油の秘蹟を受けたことが納得できた。
2020/08/20
em
獄中生活で心境の変化があったようで、出獄後を思うと複雑な気分になります。いかにもワイルドらしい文面も。「自己実現」を願う人と正反対の例として、”自分の思い通りの道を描いて成功する人”が挙げられており、成功することが「その者の受ける罰」であるとされています。これは…少し前に判で押したように使われた「自己実現」を思い出し、100年後の日本にまで毒を吐いてくるワイルドにちょっと笑ってしまいました。
2017/06/07
中島直人
オスカーワイルドの個人的な手紙。今の自分には全く響かない作品。私の成熟度が足りないのか、作品が足りないのか。少し時間をおいて読み直すことで再考しうるのか試してみることにしたい。
2016/01/31
名言紹介屋ぼんぷ
『憎しみは人を盲目にする。』
2023/03/07
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