ジャッカルの日 (角川文庫 赤 537-1)
ジャッカルの日 (角川文庫 赤 537-1) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
超一級のエンターテインメント小説。冒頭の数ページで忽ち小説世界に引き込まれ、最後の数ページでは思わず唸り声をあげ、そして読了の瞬間には溜め息を漏らす。たった1人でドゴールの暗殺を画策する孤独なスナイパー、ジャッカル。一方、それを阻止せんとするルベル警視。互いに、狙撃者が、あるいは守る側が、およそ考えうるあらゆる手立てを尽くすサスペンスは、最初から最後まで強度の緊張が保たれる。また、細部にわたっての実に綿密な彫琢度において、きわめて高い完成度を示す。推薦。
2016/09/21
absinthe
面白かった!多くの小説ランキングで上位に上がる有名作品。正体不明の暗殺者ジャッカルがドゴール大統領を暗殺しようとしている。それを阻止せんと奮闘するルベル警視。相手の裏をかこうと互いに頭脳を駆使して奮闘し、それぞれ困難を乗り越えていく。展開は速くはないがスリリングにして重厚。後半はルベルもジャッカルも応援したくなってくる。アルジェリア虐殺、ナチ占領からの解放、当時のフランスが乗り越えようとしていた戦後の様子も興味深い。
2021/07/23
ケイ
白昼のドゴールの暗殺計画。驚いたのは、首謀者はフランス人だったこと。それも高官達。アルジェリアを手放したことでドゴールを許せなかった者たちは本当に存在していて、ジャッカルの話以外はほとんど史実である。作者は当時イギリス通信社のフランス駐在員だったので、この話はほとんどそのままあったことなのかもしれない。用意周到なジャッカルの完全なリードを、有能だが地味なフランスの警部が次第に追い詰めていく様子。最後の広場での何コマかは、文章が頭の中で映像に変換された。スリリングさと、地に足のついた者の堅実さの対比が秀逸。
2015/09/11
サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥
フォーサイスの代表作。ド・ゴール暗殺を企てる謎の暗殺者「ジャッカル」とそれを追う英仏両国の警察。両者の緊迫した対決が素晴らしい。派手なドンパチをやらなくても、これだけ素晴らしい小説が書けるという教科書のようなもの。何年たってもこれはいい、面白いよ。不朽の名作ですね。私の中でも殿堂入りの面白さ★★★★★
Panzer Leader
傑作であった旧作映画を何度も見ていたので、すっかり既読と勘違いしていて実は読んでいなかったが、冒険小説の様な自伝があまりにも良くて今回初読み。結果、なぜ今まで読まなかったのかと後悔するくらいの面白さ。ドキュメンタリーかと思えるほど現実と虚構の織り交ぜ方が巧みで、暗殺者対捜査陣の手に汗握る攻防は40数年たった今でも素晴らしい出来。但し登場人物たちの熱き心の奥底まで感じ取れなかったのはドキュメンタリータッチの描写故か。49冊目/「海外ミステリーマストリード100」
2018/09/20
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