悪魔の選択 上 (角川文庫 赤 537-6)
悪魔の選択 上 (角川文庫 赤 537-6) / 感想・レビュー
absinthe
凄い迫力だ。淡々とした筆致だが現場の雰囲気は伝わってくる。不屈の信念を表現するためにあえて無理な行動をさせたりはしていない。小説の本筋だけでそれが伝わってくる。登場人物が多くて誰に感情移入したら良いのかわからない嫌いはあるが、読んでいて人物を混乱することは決してない。テロリストも政治家も、自分のベストを尽くすために必死なのだ。下巻に急げ!
2016/04/11
たぬきオヤジ
フォーサイスにしては、なかなか気楽に書いた小説のようだ。1979年の作品。ソヴィエトとアメリカの一触即発の危機だが、ここで危険をまき散らすのはウクライナのテロリスト。ソ連は、あのルイセンコを彷彿とさせる農業政策の失敗で追い詰められてしまう。
2020/09/24
スー
35ボーンアイデンティティと同じ始まり、海に浮いている人が救助されてから話が動き出す。ウクライナ人のソ連への復讐を企む者と米国の人工衛星が見つけたソ連の麦畑の異常、ソ連政府の中で食料不足を起因とする勢力争いとヨーロッパ戦争危機、英国の諜報員のマンローはソ連に派遣されそこで秘密にしていた過去の恋人と再会し彼女がソ連政府内の会議の音声テープを持ち出し政府が恐ろしい企みをしていると訴える、このテープを元にソ連との交渉を有利に進めようとする米国これらの事が同時に進行していく戦争は回避できるのか?マンローは恋人と
2023/04/14
對馬 正晃
さすがフォーサイス!といったところですが、リアル過ぎてドキュメンタリーを読んでいるかのよう・・・。もうちょっとエンタメ性を期待しつつ、下巻を読みます。
2020/05/13
牛頭凡俗
英作家による冷戦期の米英ソの謀略小説。初読は85年。キエフを観光したので再読。フォーサイス作品はよく映画化されていたので全般的にエンタメ巨編という印象だったのだが。海運オタ,海外渡航の経験を得てネット検索可能な現代に再読すると、至る所で現実と符合している。エンタメの魅力はもちろんだが、リアリティ追求のため自らの足を使って詳しく取材したのだろう。本作ではウクライナの民族問題を事件のトリガーに据えているが、14年以降の彼らの心情を79年以前に鉄のカーテン越しに正しく理解していることに驚き。
2017/09/02
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