神の拳 下 (角川文庫 赤 フ 6-18)
神の拳 下 (角川文庫 赤 フ 6-18) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
読者が事の顛末を、その後の展開まで含めて知っている中で現代史小説を書くのだから、フォーサイスにとっても制約は大きかっただろう。現実に起こった戦争のうちで、目に見えるものは変えることができないだろう。だとしたら、創作の余地があるのは目に見えない部分―すなわち謀略である。フセインの"神の拳"が実際に存在したのか、あるいはマーチンらによって無害化されたのかは読者はもちろん、CNNなどのマスメディアにも、つまり誰にもわからないのである。そこにこの小説の存立基盤があった。カリムのハニートラップなどの複線的な謀略が⇒
2017/12/31
NAO
湾岸戦争を題材としたこの『神の拳』で、フォーサイスは湾岸戦争中には決して報道されることのなかった様々な情報をこつこつとした地道な取材で蒐集し、迫真に迫った作品を作り上げた。『神の拳』の中では、サダム・フセインが秘かにその製造に着手していた原爆や化学兵器はイギリスのSAS少佐の活躍によってことごとく破壊されたことになっているが、本当のところは闇のまま、現地に赴いた欧米の兵士たちの詳細も明らかにされないままで、我々が何も知らないところで実は密やかに起こっていたことの恐ろしさに愕然としてしまう。
2019/03/10
James Hayashi
現実にあった戦争で、たった1人のヒーローを作ることは不可能で、そういった意味でマイク・マーチンの活躍はなかなかだと思う。ミサイル、戦闘機、原爆ともはや人間の手の内で扱えるモノでない。既に30年弱の時が経過するわけだが、これほどリアルでスリリングな展開を味わえるとは夢にも思わなかった。
2020/03/22
tom
ああ、しんどい本だった。湾岸戦争直後に読めば、リアルな面白さと感じたのかもしれない。でも、今となっては近過去となってしまった時事ネタ。こういうものは、物語性に欠けるということがよく分かった。
2013/10/24
syachi
たまらんねー。ある意味ノンフィクションとしてもフィクションとしても楽しめる。ちょちょいやらかしてるが情報って大事よねといった感。ある意味無慈悲な部分もあるが、それを末端まで完璧にコントロールってのは難しいのなーとか。ラスト間際はもうちょっと緊迫感あってもよかったのかなとも思うけど、やはり楽しめるね。
2017/08/19
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