歓喜の島 (角川文庫 ウ 16-2)
歓喜の島 (角川文庫 ウ 16-2) / 感想・レビュー
Panzer Leader
ニール・ケアリー・シリーズの一篇に出てきた落ちぶれいていながらも印象深い探偵役だったウォルター・ウィザーズの若き日の活躍を描く作品。米ソ冷戦時代の古き良き50年代末のニューヨークを舞台に繰りひろげられる愛とハードボイルドの物語であるが、話の筋よりもこの華やかで煌びやかな雰囲気を楽しむのが正しい読み方だと思う。
2018/02/22
honyomuhito
アメリカとソ連がとても仲が悪くて、お互いの弱みを握ろうとしてばかりいた頃の話。CIAの工作員だったウォルターは「偉大なる北欧のポン引き」からニューヨークの民間調査員にジョブチェンジするが。ジャズと酒、タバコに詩。時代の香りが漂ってくるようだ。惜しむらくはGW中の酔った夜中にでも読めばもっと入り込めたねというところ。ウィンズロウは戯曲スタートの人なのね。なるほどドラマティックでキャラクターが立っている理由はそんなところにもあるのかも。 https://chirakattahondana.com/歓喜の島/
2018/05/09
yumiha
ニール・ケアリーシリーズ4巻目に登場した情けない探偵ウォルター・ウィザーズの若かりし頃の1958年。北欧でのCIA工作員を辞めてニューヨークの調査員として出会ったのは、将来の大統領候補の上院議員とその妻。当時も大統領候補は、スキャンダルはご法度だったようで、その背後にCIA,FBI,KGBがうごめくハードボイルドだった。う~む、ウォルターはエエとこの子でそれなりの服装やら振る舞いができる男だったのねん。それなのにアル中になってしまったのは、何があったんだろうと気になった。恋人のアンと別れたからやろか?
2024/11/06
みやび
洒落た会話や街の雰囲気など楽しめました。1958年マンハッタンを愛する元CIA、ジャズシンガーとの奔放な恋、演劇、スキャンダル…もしやこれミステリーじゃないの?って思い始めた頃から急展開で引き込まれました。1章ずつジャズの曲名がついていて、聴きながら読んだらハマってしまいました。
2020/03/19
Tetchy
1950年代の夜霧の雰囲気漂うハードボイルド調と、またしても新たな一面に触れられる作品である。古き良きアメリカ。まだ夢が夢として存在し、誰もが成功する可能性を秘めていた時代がセピア色の文体で語られる。行間には常にジャズが流れ、男と女は本心を揺蕩わせながらその日を生きるムードが漂っている。本書は政治的策略が巧妙に絡んだ、ハードボイルドを主体とした優れた作品である。ウィスキー片手に50年代の煙る街ニューヨークを舞台にジャズが漂う男と女が交錯するハードボイルド小説を読んで、浸りたい方にはお勧めの1作だ。
2010/09/20
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