ショコラ (角川文庫 ハ 22-1)
ショコラ (角川文庫 ハ 22-1) / 感想・レビュー
みうか
ジョニー・デップ主演映画は視聴済みだったけど原作は初めて。すっごく良かったです。ヴィアンヌが作り出すショコラの魔法に魅了されてしまった。芳醇な匂い放つ宝石の如きチョコレートが頭の中に囁きかけてくるのです“わたしをたべて、あじわって、舌のうえで転がして”。抗いがたい誘惑。背徳的な悪魔の味わい。一度その味を知ったらもう戻れない。神の教えを説く神父でさえも……歓喜と後悔に咽び泣く。我に返った時にはショコラの魔女は風に乗ってどこかに姿を消している。快感の記憶だけを人々に残して…。
2020/02/22
NAO
謝肉祭の日、厳格な司祭に精神的に支配されている小さな田舎町にやって来たヴィアンヌ。謝肉祭と復活祭の間の40日は、日々の食べ物を徐々に減らしていき信仰心と共同体意識を高めることを目的とする、教会にとっては重要な日々。その期間にチョコレート店が開店するという筋立てそのものがかなり皮肉が利いているが、厳格な司祭の背後に漂う怪しげな罪の匂いも相当背信的だ。ヴィアンヌ自身も謎めいているし。人の心までとろけさせる甘いチョコレートは、それほどまでに罪深い? 現代の話でありながら中世的な雰囲気が漂い、おもしろかった。
2015/09/21
橘
面白かったです。厳格な田舎町に、蠱惑的なチョコレートの香りが漂ってきます。映画を見たことがあったのですが、原作はもっと辛辣で、でも色鮮やかで。アルマンドがとても好きでした。レノー神父が多分チョコレート食べてしまう人なんだろうなと、映画の記憶が少しありましたが、レノー神父のチョコレートの味わいの描写が、背徳的で、哀しいおかしみがありました。ヴィアンヌとアヌークはまた旅に出るのかな。チョコレートももちろん、食べ物がとても美味しそうでした。また映画も見よう。
2016/02/02
松本直哉
謝肉祭から復活祭までの、春の兆しがやがて春そのものになる時間の中で、フランスの田舎の固陋な住民のコミュニティが、移り住んだ母子によって開かれていく過程。疎遠だった親子も流れ者のジプシーもともに食卓を囲む最後の晩餐は、差異と境界を越えた交わりの美しさに満ちている。ただ一人心を開かず、よそ者への不寛容をあらわにするレノー神父の抱える黒い闇が影を落とす。尊敬していた師の所業を目の当たりにした少年時代の神父の絶望は想像を絶するし、それを抱えたまま生きねばならなかった彼の肉的欲望への忌避も納得できる気がする。
2018/06/06
Shinji
この時期だから!と、積ん読の中から見つけて読み始めた本だったけど 時期に関係なく良かったです。チョコレートにまつわる柔らかい話かなぁ…と思ったのも束の間、アレ⁈がっつりファンタジー⁉︎ 梨木香歩さんっぽい印象で、結構静かで重い戦いも…ヴィアンヌとアヌークの素性のミステリアスさとホットチョコレートに興味をそそられたね。 〈ラ・セレスト・プラリーヌ〉かぁ… こんなお店だったら通うだろうなぁ… 知らなかったけど映画化されてんだね。
2015/02/15
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