お菓子と麦酒
お菓子と麦酒 / 感想・レビュー
遥かなる想い
モームが描くロウジーという女性の存在感が 圧倒的である。亡くなった老作家の妻を 私の視点で回顧しながら描写する。 ひどく魅力的に読めるのは 誰もが若き心に 持っていた自由奔放さへの憧れなのか.. 1930年に書かれたこの本、 当時の文豪ハーディーをモデルにして 物議を醸したらしいが、 逆に言えば当時の風景が素直に描写されている 証拠なのだろう。心の中で生き続けた ロウジーへの想いと追慕の念.. 題名の「お菓子と麦酒」は「人生を楽しくするもの」という意味 らしいが、ロウジーに捧げる本なのかもしれない。
2016/05/03
まふ
作家である「私」ことアシェンデンが大作家であるドリッフィールドの伝記ものを書こうとしている中堅作家アルロイ・キアの助力をすべくドリッフィールドの最初の妻であるロウジーやほかの女性たちのつながりを語った物語。ドリッフィールドがトマス・ハーディだとされたこともあるようだが事実は違うらしくガッカリ。英国の作家たちの内輪話めいていてそれなりの面白さはあった。「ドリッフィールドの出身階級が高くない」など読者は余計なことを意識しており英国は相変わらずメンドウクサイ国である。G1000。
2023/10/31
扉のこちら側
2017年190冊め。【301/G1000】お菓子とビール、人生を楽しくするもの。去っていった彼女の思い出。ロウジーの奔放だが愛情あふれる描写は魅力的。ただ彼女にはもう少し知性のきらめきがあってほしかった。『人間の絆』同様、著者の回顧録かと思ってしまうほど語り口が真に迫っている。時折混じる皮肉のスパイスもよし。
2017/02/23
星落秋風五丈原
【ガーディアン必読1000冊】発表当時、ドリッフィールドとキアのモデルについて論争が巻き起こった。モームは人物描写がうまいので、特に後者はモデルと目された本人が読んで「これは自分だ!」とすぐに気がついたほど似ていたらしい。 いやこれは二重の意味で本人がきつい。いくらフィクションだと断っていても「モームはそんな風に自分の事を見てたのか!」と知るダメージと「ふーん、あの作家ってこういう人だったんだ」と一般読者にイメージが広まるダメージ。作家なので褒めている所はあるが人格についてこれだけ書けば天秤は一方に傾く。
2017/09/05
コットン
良い性格だけれど性に奔放な女性主人公のモデルが名門の娘らしいが現代ならどんな物語になるのだろう。【ガーディアン紙が選ぶ必読小説1000冊】
2016/03/27
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