ゲバラ日記 (角川文庫 ケ 2-1)
ゲバラ日記 (角川文庫 ケ 2-1) / 感想・レビュー
jam
1969年10月9日に射殺された革命家チェ・ゲバラの遺体は30年たった1997年10月17日にようやく遺族のもとに返された。1960年代、世界中の若者たちは、少なからずの影響を彼から受けた。私たちはその時代を知らないしエネルギーもわからない。それでも今と違う世界が在ったことはわかる。本作には、キューバ革命の後、活動をボリビアに移しゲリラ戦に暮れた苦しい時期の最後の日々がある。淡々とした記録のような日記、故に切ない。最期の言葉は彼の射殺をためらう兵士に放った「落ち着いて狙え。恐れるな。」だという。
2016/10/18
色々甚平
ボリビアでの武装闘争の日々を綴った日記。ゲバラを題材にした映画を見た後だったので想像しやすかった。あまりイメージになかった行軍を共にしてきた動物に感傷的になる文もあり動物好きだったのね。とか妙な親近感が湧いたりしました。日記の後に書かれている小伝では革命後のキューバでゲバラは工業化を進めたがうまくいかなかったことやカストロとの亀裂などが生じてまた外国へ向かったことも書かれていて日記を読み終えた後だからこそ、ボリビアにくるまでそんな日々があったのかと余計に沁みる。
2016/06/22
tsubomi
2016.07.21-07.27:日記は唐突に1966年11月ボリビア山中から始まる。簡素な文体。客観的事実。よかった点、悪かった点、改善すべき課題、天候と現在地の標高。常に理知的に冷静に観察し思考し、月末に必ずサマリーを記す。なんとなく書き方が病院の診療録に似てるなあ、とずっと感じながら読了したら、解説に同じことが書かれてあった。ゲバラの知人も“毎日の出来事を緻密に、医者特有の細かくて読みにくい字で”記録する習慣があったと語っている。最後まで医師だったゲバラ。仲間と家族の誕生日を忘れずに記すのが印象的。
2016/07/27
左手爆弾
革命家や英雄のイメージとはほど遠い、泥臭くて退屈で惨めなゲリラ戦。馬を食い、仔牛を食い、イノシシを食い、しまいにはアリクイを食う。とにかくもう、大変な状況。政府軍の攻撃にゲリラ戦士達は1人また1人と倒れる。肝心の農民蜂起は起こらない。そんな状況にあって、過剰なまでに規律を要求し、「革命精神」で乗り切ろうとするゲバラは夢想家のように見える。いや、この誰にも見せるつもりのなかった日記を見る限り、ゲバラは決して英雄などではない。あえていえば、自分にも他人にも厳しくあり続けた、時代後れの聖者であったのであろう。
2012/10/31
寝落ち6段
革命家・チェ・ゲバラのキューバを去ってから、ボリビアで死ぬまでの日記。なぜ、革命に人生を賭けたのか。華々しい英雄ではなく、ただ泥臭く、圧政に苦しむ民衆の為に闘っていただけだった。この日記は殺害後発見されたもので、人に見せるものではなかったのだろう。自分に厳しく、ただ民衆を救おうと本気になっていた。彼の夢は叶ったのだろうか。常に自分の死と夢を追い続けた儚くも強い気持ちの語り草。
2013/08/24
感想・レビューをもっと見る