アンネ・フランクの記憶 (角川文庫)
アンネ・フランクの記憶 (角川文庫) / 感想・レビュー
hiro
『アンネの日記』を読み終え、続けて20年前小川さんが隠れ家のあったアムステルダム、生家のあるフランクフルト、そしてアウシュヴィッツとアンネの足跡を訪れ、アンネとかかわりのあった人にも会って書いたこの本を読んだ。『アンネの日記』には書かれていない、1942年6月12日以前と、1944年8月1日以降のアンネのことを知ることができた。また、小川さんのアンネ・フランクに対する思いがストレートに伝わってくる本でもあった。いつかオランダに行って、どんな長蛇の列ができていても、あの隠れ家を訪れてみたいと思った。
2015/02/24
ヴェネツィア
本書は、小川洋子が彼女の積年の愛読書『アンネの日記』にまつわる地を訪れた思索の旅の記録である。アンネにとっての「書くこと=自己の生の意味を探究すること」が、小川にとっても「書くこと」の原点となっている。「小説とかかわっているかぎり、書くことの意味に迷った時、わたしの精神はこの場所に舞い戻ってくる」と小川が語るように。アウシュビッツで、彼女は収容者たちのおびただしい数の靴を見るが、「わたしは心の中で、無数ではない」と自分に言い聞かせる。アンネも、他の多くのユダヤ人もすべてかけがえのない「個」だったのだ。
2012/12/20
財布にジャック
4月2日の成田発アムステルダム行きの飛行機の中で読みました。前から読みたかったのですが、このタイミングで読むのが一番だと思い我慢して良かったと思います。翌日アムステルダムのアンネの隠れ家へ行って参りました。小川さんがアンネを思い辿った道を、私も一部だけですが辿ることが出来て本当に幸せでした。アンネも隠れ家で聞いたであろう西教会の鐘の音を隠れ家の見学中に聞いた時は涙が出そうになりました。小川さんは他にもドイツやポーランドへも行かれていて、アンネのファンであることがひしひしと伝わってくる良書だと思いました。
2011/04/11
酔拳
小川さんは、学生の時にアンネの日記に出会い、それから、ずっと、アンネを尊敬していたそうです… もし、アンネに出会わなかったら、小説を書こうと思わなかっただろうと言ってあります!! この本は小川さんが、アンネにゆかりのある場所をたずねて、当時のアンネの気持ちをよみといていこうとする内容です! 小川さんのアンネへの友情が感じられます! 私も、アンネの日記の表現力に魅了された一人ですので、興味深く読めました!!
2017/03/13
紅香@本購入まであと9冊
書くことの意味に迷った時、私の精神はこの場所に舞い戻ってくるはず…小川さんの真ん中、沸々と言葉が溢れだす一番奥の机にひっそり佇む少女アンネフランク。彼女に会いに行く旅。。無数ではない、無数ではない。ここにあるのは一つ一つの死の重なりだ。アウシュビィッツの遺品に一人一人の人生を見つめようとした小川さんの真摯な姿に胸をうたれた。私の中にもアンネが生まれた。語ること思うことでずっと生き続ける命。彼女は最期まで負けていなかったと日記を時の舟に乗せた人々のことを思いながら。どうかこの舟があなたにも届きますように。
2014/08/28
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