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もの食う人びと (角川文庫 へ 3-1)

もの食う人びと (角川文庫 へ 3-1)

もの食う人びと (角川文庫 へ 3-1)

作家
辺見庸
出版社
KADOKAWA
発売日
1997-06-20
ISBN
9784043417018
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もの食う人びと (角川文庫 へ 3-1) / 感想・レビュー

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鉄之助

初っ端から、刺激的。ダッカの”残飯市場”から旅が始まった。時代は、バブル前、飽食のニッポンである。「東京では日々50万人分の食事が捨てられている。いつか、それが逆転はしまいか」。辺見傭の視点に、思わず引きずり込まれた。現代日本の危うさ、が既に予言されているようだった。エイズの村やチェルノブイリの放射能汚染地域…その現場に足を運び、時には一緒に暮らす筆者だからこその説得力があふれていた。「食」の前には、民族も主義・思想もみな平等…。27年前の発刊だが、全く古さを感じさせないノンフィクションの名作だった。

2024/07/04

mukimi

一切の意味も価値も商品化と消費にしか還元しない故に人が食い且つ生きることの本来の価値と意味を剥落させた日本において有情感を喪失し危機感を抱いた筆者が、紛争や飢餓の世界で生きる人々の「食」という生に直結する行為に着目し同じものを共に食すことで人々の生を取り込む。人間の命へ肉薄した怒りと哀愁と欲望と我執と官能とが炸裂し(平和な先進国に生きる人間の軽薄さと傲慢さを感じさせる表現だが)究極の人間観察だった。情緒ある美しい文章でありながら、情に脆ければ書き得ない男性的でドライで骨太のルポタージュ。かなり面白かった。

2024/01/09

ゴンゾウ@新潮部

10数年前の再読。飽食の国日本から世界中の食をテーマにした渾身のルポ。飢餓と貧困にあえぐアジア、民族・宗教・政権交代に揺れる東ヨーロッパ、チェルノブイリの原発汚染地帯、エイズ汚染に苦しむアフリカ、日本の占領下の影響が未だに残る韓国それぞれに食がある。生きる為にはどんな状況下でも食わなければならない。美食とかけ離れた食があった。飽食日本を憂う。

2016/06/29

ふう

本で読むだけでもつらいけど、実際にそこに身を置き、自分の目で見たら…耐えられないかもしれません。他人の残飯を食べて生きる人々。支援物資だけが頼りの人々。放射能に汚染されたものを食べる人々。世界のゆがみはますます大きくなり、世界中を知ることができる時代なのに、知らされないことが増えていくような気がします。知らなければ、このゆがみをなくしたいと考えることも行動することもできません。でも、知ってもどうすることもできずに、これからも変わらない生活を続けるしかないのでしょうか。

2020/10/30

☆よいこ

「食」を基軸として世界各国の紛争地や飢餓地域へ赴き、体当たりの取材をした衝撃のルポルタージュ。執筆は1992年〜1994年。▽現実世界の残酷さと命の軽さと重みを感じる。頭上を砲弾が飛ぼうとも放射能が降ろうとも人は喰う。生きている。口絵の写真が、このルポがファンタジーでもVRでもなく真実なのだと強く印象づける。

2021/06/07

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