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ゆで卵 (角川文庫 へ 3-3)

ゆで卵 (角川文庫 へ 3-3)

ゆで卵 (角川文庫 へ 3-3)

作家
辺見庸
出版社
KADOKAWA
発売日
1998-10-01
ISBN
9784043417032
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ゆで卵 (角川文庫 へ 3-3) / 感想・レビュー

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ミカママ

長年あたためていたが、激しく予想を裏切られる内容だった。硬派だと信じていた著者の「男のスキマ」を覗かされたような。地下鉄サリン事件にも遭遇した辺見氏、人の死に遭遇すると食べたくなるんだというゆで卵を貪り喰いながら、同じくゆで卵の匂いのする女を抱く。「爪に残った匂い」という表現に、頭をガツンとヤられた。ただし爪の伸びた男は虫唾が走るほど嫌いなので、辺見氏には爪を切って出直して欲しい。人の生と性、つくづく「食べる」ことに連なるなぁと実感。

2020/08/10

アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯

冒頭、のんきにゆで卵を食べる描写から始まる。ゆで卵のにおいから連想するエロス、地下鉄サリン事件の現場で漂っていた死のにおい。ゆで卵やくずきり、マスクメロン等、食べ物をテーマにした短編集。食べることと、性、そして死も一直線に並んでいる。カンボジアのゲンゴロウ売りの子供から買ったゲンゴロウと男の目『ゲンゴロウ』、何のために並んでいるのかわからないまま行列に加わる『ハンバーガー』、他にも『タコ』『スズメ』『ホットケーキ』が印象深かった。

2017/07/05

さっちも

愛について、とりわけ身勝手な性欲だったり、承認欲求だったり、寂しさの穴埋めだったり、依存的であったりと、何か尊厳を欠いたような恋愛の短編集。よくある「恋愛」の否定は、逆説的につながりたい、信じたいというせつない欲望を照らしだす。本当の意味で信じる確証が欲しいのじゃないか。人一人だという事の孤独さが迫ってくる。

2018/08/18

YO)))

夜,ゆで卵をポクポクと食べる.女の秘所に挿入,後,産卵されたそれをも.サリン事件の地下鉄の朝からの,その夜に. 匂いから執拗に呼び覚まされる―多くは下世話で時に卑猥な―記憶と感覚は,記者連中が彼の事件を空疎さの中に回収してしまったところの"言葉"というものに対する強烈なカウンター.に,果たして成り得るのかどうか,或いはそう成り得えて欲しいという希望のようなもの?なのかも? 他に,不倫カップルが"少年の家"に中学生たちと同宿する,マジックリアリズムの「エビフライ」が良い.

2015/12/23

かんやん

辺見庸二冊目。表題作以外は掌編で、すべて食べ物がタイトルになっている。そういえば、前に読んだのはノンフィクションだったけど、『もの食う人びと』というタイトルだった。しかし、それぞれタイトルになっているにもかかわらず、食物が喚起的に迫ってくることは、表題作以外はなかった。小説というものが毎日生産され、同じように消費(言葉は悪いけど)され続けているということに、著者は無自覚でありすぎるのでは。赤裸々に性を語るのは別に下品だと思わない。ただあとがきでツラツラ自分や作品について語るのは、頂けない。

2018/07/23

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