眼の探索 (角川文庫 へ 3-6)
眼の探索 (角川文庫 へ 3-6) / 感想・レビュー
おさむ
20年も前の辺見さんのエッセイというか随筆集。ちょうど日米安保ガイドラインが改訂されて、日本がきな臭くなっていったころ。奇妙なまでに安部政権下のいまの日本社会と重なります。善と悪、狂気と正気、生と死…。辺見さんの格調高い文章は、こうした対立する概念の境界線を揺らがせ、消していきます。元新聞記者で、これだけ純文学的な文章をかける人をわたしは知りません。昔は井上靖とかがいたんだけどなあ。
2018/09/29
テン
言葉をたくさんもってる人に憧れることで生きてこられた気がする。言葉は世界を区切っていく。私のような凡眼には何もないようにみえる瞬間を言葉は美しくしたり哀しくしたりする。たくさんの言葉を所有することができれば大切な人が思い悩むこころのスキマにハマる言葉をとっさに選んであげられるかもしれない。辺見庸は言葉の傭兵のように世界にいるみたい。社会に迷彩し最前線に立つ雰囲気を感じる。エッセイのようなカタカナの優しいフォロワーのいる世界ではなく、もっと散文てきで言葉そのものに支持者をもたない孤独な詩のように感じる。
2024/01/29
mope
再読。辺見さんがポルポトと握手した時の掌の感触について書いた文章を読みたくなって、読んでみたけどこれじゃなかった…。 辺見さんの文章は政治の話を身体性とか情念みたいなもので語るところ、そしてそれをあくまで情念として扱うところ(理念や論理であるふりをしないところ)が好きなのだけれど、今現在の時勢の事もあって読んでいて酷く疲れました…。 私は辺見さんの作品は政治の話でもなく、小説でもなく、日常の事をざらりと描いたような文章が好きみたいです。
2017/04/30
うりぼう
辺見庸って、どこで切ったらいいか判らない。眼のつけどころが違う。
2001/11/12
メルコ
20世紀末の頃に新聞連載されたもの。当時話題になっていた新ガイドライン、死刑制度の是非について多く書かれている。書き下ろされた「虹を見てから」の内容に驚く。著者の他の書物も読んでみたくなった。
2017/01/26
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