KADOKAWA Group

Facebook X(旧Twitter) LINE はてブ Instagram Pinterest

冬のオペラ (角川文庫)

冬のオペラ (角川文庫)

冬のオペラ (角川文庫)

作家
北村薫
おーなり由子
出版社
KADOKAWA
発売日
2002-05-24
ISBN
9784043432059
amazonで購入する

冬のオペラ (角川文庫) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

ちょろこ

存分に味わった、一冊。「遠い唇」繋がりで手にしたこちらの作品。物語が醸し出す雰囲気、テンポ、推理、北村さんの言葉選び、それらを存分に味わった。そして名探偵 巫さんの静かな佇まい。わたし、のあくまでも記録係に徹する姿。この二人の姿、醸し出す距離感と空気感が特に柔らかさを感じて好き。「蘭と韋駄天」はニコライ堂を思わず確かめたくなる衝動に駆られるほどの推理。表題作「冬のオペラ」は推理よりもせつなさに心掴まれた。ハッとするほど胸に刺さる言葉、力強さとせつなさを携えた言葉が心に静かに舞う。

2020/02/11

アン

名探偵とは「存在であり意志」と説く巫弓彦。彼の記録者となるOLの姫宮あゆみ。彼らが遭遇する3つの事件のうち、表題作の中編は殺人事件の謎の解明です。「蘭と韋駄天」事件で知り合った椿との再会、奇妙に散乱した男物の服、教授が抱えていた2冊の本…。舞台となる冬の京都の美しく静寂な情景が、事件の哀しさを際立たせているようで何とも切ない気持ちに。巫弓彦の自分の意志を貫く姿勢と洞察力に富んだ言葉。そして北村さんの描く女性は、いつも凛とした強さを内に秘め心に残ります。胸に染みる儚く美しい閉幕。哀愁を帯びたタイトル。

2020/10/16

射手座の天使あきちゃん

人知を超えた難事件のみを引き受ける名探偵・巫(かんなぎ)弓彦 世界一の警察力を誇る平和国家・日本に、そうそう難事件はある筈もなく今日もバイトで生計を立てる名探偵(笑) コミカル系かと思いきや、第三話 悲しい真実が見えてしまう名探偵にちょっぴり同情しました

2011/08/13

ナミのママ

3話の連作短編集。「冬」テーマ読書会で登場し、北村薫さん話題で盛り上がった一冊。「上品なミステリー」という紹介がまさにぴったり、そういえば最近このような上品さを感じる作品を読んでいない。名探偵と自ら名乗る巫(かんなぎ)が謎解きに挑むが、記録者志願の若い女性姫宮の視点で語られるので読みやすい。難解な部分も姫宮が代わって質問してくれる。「冬のオペラ」は京都の街の描写が美しい。読み終われば事件の背景と犯人の心情が切なく、確かに悲しい事件だった。

2023/11/01

おかむー

好感度の高い『月の砂漠をさばさばと』と正直苦手だった『空飛ぶ馬』、両方とも北村薫だとは盲点だった。『もうすこしです』。「浮気調査や探し物はしない、“名探偵”にふさわしい事件だけを解決」するためにアルバイトで生計をたてる巫(かんなぎ)。その記録係のOLあゆみ視点の語りで、まずふたつの短編で日常系かと思わせて、表題の中編で名探偵にふさわしい推理モノとして読み応えは充分。それぞれの事件の真相がなかなかにえげつないあたりはやはり『空飛ぶ馬』の著者ですね。

2020/09/07

感想・レビューをもっと見る