弥勒世 上 (角川文庫)
弥勒世 上 (角川文庫) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
1972年、本土復帰直前の沖縄を舞台に描くスケールの大きな小説。分量的にも上下巻で1400ページの力作である。主人公のアナーキスト尚友の語りで描かれる沖縄は負の躍動感と諦念とが同居する。世上の騒然たる動きと、尚友の鬱屈した情念とが交錯するところに小説世界が拡がってゆく。時はまたヴェトナム戦争の最中でもあったのであり、沖縄は大勢のヴェトナム帰還兵で溢れてもいた。米軍の中の黒人兵と沖縄の人々とはっ相互に暗喩的な存在でもあった。馳の筆致は様々な意味においてリアルだ。
2021/09/27
巨峰
マグマが溜まっている、地表スレスレまで。それが、ときどき、少しだけ、吹き出している。そんな緊迫感と緊張感がこの長大な小説に漲っている。本土復帰前の沖縄。コザが舞台。
2021/12/04
koba
★★☆☆☆
2019/03/27
みどり
沖縄返還は私にとってはもう、学校に通っていて、 きちんと授業を受けて、テレビでそのニュースを生で見ていた話。 家族旅行で沖縄に行くときには、パスポートが必要だった時代。 それを、「平成の時代」に、タイムスリップしたような感覚で描かれているのを読むのはすごく不思議だった。長い話、下巻が気になる。
2021/09/07
なかなこ
非常に面白いです。相変わらずすごいボリュームなので睡眠時間がどんどん削られます。下巻へいきます。
2015/08/02
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