禍記 (角川ホラー文庫 た 1-3)
禍記 (角川ホラー文庫 た 1-3) / 感想・レビュー
アメマ
田中啓文が描く伝記ホラーだから一筋縄ではないと勘繰る。タブーとされている『禍記』という謎の古書の存在を暴こうとするストーリーを軸に摩訶不思議な話の短編集で構成されている。神話や民間伝承を基に作られ、予想外にエログロ駄洒落が抑えられていたので身構えて読むが、よくよく考えればバカバカしい設定にやっぱり田中啓文だとほくそ笑む。読み易く、それなりに質の高いホラーで非常に楽しめた。あとがきの著者による伝記モノについての解説は田中色満載。ラスト1行で伝家の宝刀炸裂(笑)☆3.5
2016/06/08
J7(読メ低浮上中)
『禍記』とは有史以前に表から闇へと葬られ、妖怪に堕ちた神々を記す暗黒の古文書。盲目の人間だけが住む島で崇められる「ひゃくめさま」。とある寒村で幸いをもたらすとされ、巨大な蝶の羽を持つ「ミツカイさま」。収録されているどのエピソードも、封印された異形の彼らに迫る過程は、ひたひたと恐ろしいものが暗闇からやってくるような戦慄を感じます。やがて明らかになるその正体も「ぎょえーっ!」と思わず叫びたくなるほどグロテスクです。なのに読み進めてしまうという、謎の吸引力を持った怪作です。諸星大二郎さんなどが好きな人にぜひ。
2015/04/18
Norico
それを探そう、解読しようとした者はいつのまにか消息不明になるという「禍記」。ふとしたことでそれを知った編集者の恭子。教えてくれた作家も失踪して、最後に明らかになる自分の姿に驚愕。出てくる話はどれも気持ち悪い。妖怪というより人の悪意のが怖い気も。「黄泉津鳥船」はちょっと救われる
2019/03/31
miroku
最後の「黄泉津鳥舟」がいかん!全体的には面白いのだけれどね。
2017/06/16
佐倉
煙鳥氏おすすめ本から。かなり好みの作風。『禍記』なる古史古伝。すでに散逸し、注釈や目録しか残っていないその文書をオカルト誌の編集者が追う表題作がブリッジとなって妖怪や因習、絶滅生物、異界を描いた怪しげな短編たちが展開されていく。赤子が生まれてから出身地の”取りかえ子”という妖怪説話を思い出してしまう母親を描く『取りかえっ子』巨大な蝶、それを御使いと崇める村の因習を描いたバイオホラー『天使蝶』盲人以外は殺されてしまうめんやみ島とそこに婚約者を探しに来た目の見える女性、そしてひゃくめさまなる怪異の存在が(続く
2024/03/12
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