臓物大展覧会 (角川ホラー文庫)
臓物大展覧会 (角川ホラー文庫) / 感想・レビュー
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安定のSFとホラーの組み合わせでした。タイトルの感じからして、もう少し臓物系が中心かと思いましたが、そういうわけでもなかったです。本作の中では「ホロ」や「造られしもの」のような、自分の存在意義が揺るがされるような、また存在自体曖昧になる怖さがある作品が好みでした。もしかしたらこの世界も、人間が中心になってると思い込んでるだけで実は違ったり、なんてことがあるかもですね。最近読んだ小林さんの作品はSF系のものが多かったので、そろそろ「透明女」のような痛々しくて少しゾッとするようなものが読みたいな。
2014/08/09
まえすとろ
「腹が立つ」「腹の虫が収まらない」「腹に据えかねる」「腸が煮えくり返る」「腹黒い」「腹を決める」の言葉があるように、腹、腸(はらわた)は古来、日本人にとって脳や胸(心)よりも怒りや恨み、または強い欲望の『意識』が在る臓器なのだとする小林の着想と感性で綴られる9話で構成される恨みと復讐、人間のエゴが噴出するホラー小説短編集。表題をストレートに解釈すると、さぞやと思われるが、内容は確かにグロテスクなホラーも在るものの、全体的にはSFテイストに満ちた奇異なストーリーとスラップスティックな話で構成されている。
2015/03/21
ひろ
まず特筆すべきはタイトルのインパクト。臓物を展覧してしまっているのだから、あからさまに読み手を選別している。内容は既刊の作品に書き下ろしを加えてまとめた短編集のため、読み進めるとタイトルから受ける印象とはズレがあるかもしれない。ただ、ホラー、ミステリ、SFを自由に横断する小林泰三ワールドにどっぷり浸れる。解体シーンが見どころの「透明女」、緻密な仕掛けを堪能できる「少女、あるいは自動人形」など魅力的な話が並ぶ中、一番のおすすめは「悪魔の不在証明」。個人的には、この書き下ろし短編だけで一冊の価値がある。
2021/07/03
simasima
書き下ろし2作を含む9編を収録。トップバッターの「透明女」は表紙とタイトルの禍々しさそのまんまのきっちり血まみれの内臓グロで、ンフフフフ〜。音声描写にニヤリ。そして、刑事のやりとりはギャグなのか?これが今、流行りの抜け感というやつか?って油断してたら、やっぱグロいぜっ…。そして、ラストの「悪魔の不在証明」は論理論理論理からのそうくるかぁという結末にニヤリ!その他、星新一チックなSFモノ、内臓感薄めの近未来モノ、痛々しい犯罪モノなど、作品それぞれに異なる趣があり、満足度は高め。一部強烈グロありのためC
2015/05/29
ミーナ
グロとSFの9編。朋来堂Youtube「身の毛もよだつホラー小説」より。ヤスミンにハマるきっかけとなった『攫われて』が収録されており、目次を見ただけでテンションが上がる。 タイトルから血塗れ・阿鼻叫喚な話を想定し心の準備をして臨んだのに、半分ほどはSFで肩透かしを食った感。『透明女』『攫われて』『悪魔の不在証明』が望むものと一致していてよかった。『攫われて』はやっぱりすごくいい。
2021/09/07
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