海の図 下 (角川文庫 は 20-14)
海の図 下 (角川文庫 は 20-14) / 感想・レビュー
SURI
経済発展のさなか、瀬戸内海のある島とその周辺の環境破壊を巡って本当に価値ある知恵・知識とは何かを筆者は問いかける。テスト主義の教育や食事時の暗記力のみを競うクイズ番組が流される昨今、「死んだ知識」が良しとされている気がする。登場人物の一人が「知識を身に着けることは学んだことの一つに違いないが、それを社会や人々の幸福に生かしたかどうかの吟味がものを学ぶ本当の意味。それを忘れると人間は人を傷つけ傲慢になる」という。自然の素晴らしさを顧みず傲慢に生きる人間の姿が原発問題や沖縄基地問題を抱える今の日本と重なった。
2016/10/26
tono
「ものはものじゃない、みんな自然のいのちで、金に換えられるものじゃない」 著者の沖縄に対する尊崇の念が強くほとばしり、心に染み入ってくる。 生徒と教師、学校と社会、そして人間と自然。それぞれ如何にあるべきか。 会話と会話の間に挟まれる独特の語り口が、作品全体の親密度を高めている。 ここで描かれるのは、生々しい人間の実像だ。いつの時代も、他者との関わりの中で傷つき、癒され、前に進む。 潮の香りと太陽の鮮烈さが身に染みる。良作。
2015/08/28
悠月
様々な事を考えさせられる本だと思う。初めて読んでから、10年くらい経つが、私にとって、この本は、何年経っても特別だと改めて思った。
2013/09/26
団栗きの子
十年ぶりくらいに再読。当時は壮吉の立場から、今回は教師や親の立場に近い感覚で読む。 壮吉の亡き父親、魅力的な人だ。 現実に、地位や名誉を残さなくても人知れずこの父親のような仕事をしていた人がいるのだろう。
2012/12/07
カツオ
再読です。上下巻で650ページ、あっと言う間でした。覚えていないことも多かったのですが、以前読み終えた時に感じた深いイメージを思い出しました。誰かに贈りたくなるような本。実際、贈ったこともあります。また、時間を置いて再読を繰り返していきたい本です。沖縄という場所は、興味が尽きない。
2007/03/14
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