崩れる 結婚にまつわる八つの風景 (角川文庫 ぬ 2-2)
崩れる 結婚にまつわる八つの風景 (角川文庫 ぬ 2-2) / 感想・レビュー
馨
初読み作家さんでしたが読みやすくて楽しく読了しました。結婚にまつわる、結婚生活の普通の日々の中でのミステリーの短編集。ミステリーと言っても謎解きみたいなものではなく簡単に結末もわかってしまうぐらいのレベルですがもやもやした感じが残ったり不気味な終わり方が上手だと思います。どの話にも共通して、主人公(全員主婦や結婚前の女性)思い込みの怖さが描かれており、自分に置き換えてもありえるなぁという話もありました。
2017/08/05
ミカママ
「◯◯れる」をタイトルにした、短編8作。読みやすい、ラストにちゃんとひねりもある、でもどことなく物足りない。97年単行本刊行ということで、古さもあるのかも。貫井さん…女性目線はちとキツい...。奥様に推敲していただいた方がよかったのでは。妊娠、子育てを題材にした内容は、残念ながら、移入できませんでした。また、長編でお目にかかります。
2016/04/11
yoshida
貫井徳郎さんは初読みの作家さんです。結婚生活や結婚を控えた男女の話し。私は結婚に一度失敗しているのもあり、興味深く読んだ。結婚は祝福されることではあるけれども、そこからは忍耐の始まりとも言える。勿論、他人同士が生活しお互いの家族もありギャップはある。後はどうお互いに歩み寄るか。本作ではタイトルどおり、全編に不穏な空気が流れる。不倫、産後うつ、変わる人間関係等々。予想外のつかないラストもあり、読ませる。作品自体は20年以上前の作品であり、時代背景は変わるが人の感情は今も変わらないものがある。他作も読もう。
2018/09/01
夢追人009
疑心暗鬼と人間不信に陥りそうになるまさに人間性崩壊の物語集。『崩れる』カス夫とバカ息子に長年虐げられた妻の堪忍袋の緒が遂にブチ切れる!『怯える』意外な真実に最後はホロリ。『憑かれる』手の込んだ悪戯か?それとも幽霊の歪んだユーモアなのか?『追われる』一難去ってまた一難。『壊れる』自業自得。自分だけ安泰と思うなんて虫が良すぎます。『誘われる』サイコ系のどんでん返しが悲惨な戦慄の問題作です。『腐れる』人間一度疑いだしたらキリがないですね。『見られる』真相はこんなに複雑怪奇なのか?と歪んだ人間心理に暗澹とします。
2018/07/01
イアン
★★★★★★★☆☆☆結婚を題材とした貫井徳郎の短編集。公園デビューに失敗し孤独な子育てを強いられる杏子。新聞の投稿で知り合ったママ友と親交を深めるが…(「誘われる」)。「結婚」にまつわる8編が収録されているが、その言葉から連想される幸福感は微塵もなく、描かれるのは後悔、狂気、憎悪、恐怖など人間のネガティブな一面ばかり。いずれも短い中にゾッとするようなオチがあり、コストパフォーマンスは高い。かつてフランスの詩人ボードレールは「結婚は人生の墓場である」と言ったが、それを証明するような貫井流の世にも奇妙な物語。
2024/06/06
感想・レビューをもっと見る