髑髏検校 (角川文庫)
髑髏検校 (角川文庫) / 感想・レビュー
HANA
「髑髏検校」と「神変稲妻車」の二編を収録。どちらも時代物の伝奇小説で、著者のものとしては極めて異色な作品となっている。「髑髏検校」はドラキュラを時代小説として翻案したもので、ストーリーに強引な点はあれども草双紙的な外連味に満ちていて読んでいて極めて楽しい。「神変稲妻車」の方はこれぞ伝奇時代小説といった趣。初期の吉川英治や国枝史郎を思わせる作風で、三つの笛を巡って善玉悪玉入り乱れての大活劇。現代の小説には少なくなったパワーみたいなものが感じられるなあ。二編とも著者の多才ぶりを味わえる貴重な一冊でした。
2022/10/12
金吾
横溝さんが書く時代物は多分初めてです。吸血鬼を上手く時代に盛り込んでいると思います。ラストもなかなかでした。
2022/10/10
そうたそ
★★★☆☆ あの「ドラキュラ」を江戸を舞台にしてやってしまおう的な怪奇ホラーに仕上がっている一作。違和感なく、かつ著者独自の色も出した上でまとめているのは流石の一言。ミステリではない上、人は死ぬものの謎解き要素はない。不知火検校の正体が明かされる最後の文章は著者のサービス精神を感じさせる。併録の「神変稲妻車」は話がのらりくらりとあっちにいったりこっちにいったりの繰り返しでダラダラと長いだけのストーリーにつまらなさしか感じなかった。「髑髏検校」は正史の異色作として読むに値する一作だった。
2018/02/22
Yu。
時は文化八年 元旦、外房州は白浜で捕えられた巨鯨の中から発見された手紙入りの瓶‥ そこには世にもおぞましき離島での出来事が記されていたのだが、それがのちに江戸を震撼させる災厄になろうとは「髑髏検校」。たかが笛 されど笛‥ 元々溝があった二つの一族の関係性はある名笛を巡る出来事をキッカケに完全に崩壊し、それと同時に雨後の筍の如く次々と現れる能力者達を交えた怒涛のスペクタクル笛争奪戦へと発展してゆく「神変稲妻車」という二篇が愉しめる横溝版怪奇幻想譚。。「神変稲妻車」は何でもアリな所がイイです(◦¯ ˘ ¯◦)
2019/01/29
カムイ
横溝正史版のドラキュラ小説、活弁士が語る映画を観ている感じになりました江戸時代房州でクジラの腹から手紙入りの小瓶から怒涛の展開、テンポが良くサクサク進むが後半は勿体ない、二篇中編は活劇で面白かった、京極夏彦さんがオススメするのも納得★4点
2019/06/30
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