恋を数えて (角川文庫)
恋を数えて (角川文庫) / 感想・レビュー
あつひめ
うそを数えて、ほんまどす~か。男と女の関係は嘘の数だけ深みにはまるような気がする。この物語にはモデルとなる女性がいたそうだ。あとがきを読んでそういうこともあるのかと、小説が生まれるまでの作家の心情を察した。幸せなんて言葉は禁句なんじゃないかと思うくらい、酒場で生きる女の暮らしぶりは太陽とは無縁で、とても心配になってしまう。賭け事をする男はダメだよ…そう母に言われたこと自体が女の人生をダメな方へダメな方へと引き寄せるような気さえした。男が女を作るのか、女が男をダメ男にしてしまうのか。なんとも息苦しい読後感。
2014/04/17
巨峰
恋を数えての下の句が、酷かった。あまりにも………。80年代前半の水商売の女性の恋と生活を描く。今の小説より、妙な女感だったり、大人感があるのが印象的。主人公の恋人たちに対する好きという気持ちがあまり伝わらないよね。熱しやすく冷めやすい、それでも別れは難しい
2021/06/12
こすも
「賭け事をする男とだけは一緒になるな。」「この秋には三十歳をむかえます。」冒頭としめくくりに置いたこの二つの台詞がまずあり、「ぼくの仕事は、いわばその二行の間の空白を埋めることでした。」と佐藤正午さんがあとがきで書かれています。この小説はキャリア初期の作品ですが、このような書き方は近年の『ダンスホール』でも採用されており、正午さんの好きな構成だと思います。本作は大部分を主人公・秋子の回想・台詞で占められています。「~です。」と「~た。」を混在させた語りのテクニックが素晴らしく、作品の雰囲気を作っています。
2017/10/11
cozy
素晴らしい文章! 本来「ですます」調と「だった」を織り交ぜるのはタブーであるはずなのに、あえてそれを使っているうえ、語り手秋子の色になっている感じが、普通の作家ではありえないテクニックだろうと度肝を抜かれます。挿し込まれる歌の引用も、青臭かったり変な色がつかない。こんな作品がずっと埋もれていたなんてもったいない。直木賞受賞で再販になり、日の目を見て本当に良かった。古い作品はKindleで読んでましたが佐藤正午は本で読んだ方が絶対いいと感じました。
2017/08/30
y
物語に大きな山がある訳ではないけど、感情移入しやすいところもあり早く読んだ気がする。結局、自分の身近な人に似た人が彼氏や旦那になったりするのかな。あきこの兄が父親を男のイメージとして引きずってないか心配と言ってたのが印象に残った。男性をどこか軽蔑しているあきこ、男の気持ちと女の気持ちそれぞれ思うところがあってどっちも間違ってないけどその違いが交わらず別れを繰り返していくのは人間関係の常なのかな、とすこしさみしくなった。
2017/08/15
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