5 (角川文庫)
5 (角川文庫) / 感想・レビュー
にいにい
初佐藤正午さん。読むのに時間がかかった一冊。「冷めないスープはない」ことと、人の愛とを絡め、愛の記憶と今、愛することとの関係を小説家を主人公にして、展開していく。みんなが、感じていても、公言しないテーマを文章の妙、技巧を凝らした展開で綴る。読みにくいし、登場人物への共感も無いけれど、いい小説だったかな。
2017/12/06
ちゅんさん
本書が“鳩の撃退法”の前日譚であると知りすぐに買って読みました。愛すべきゲス作家津田伸一が思う存分暴れまわる傑作、いや怪作です。ハトゲキに続きこれまた好みが極端に分かれそうですが、私は大好きです。佐藤正午と津田伸一という二人の作家に心を鷲掴みされてしまいました。“必ず冷めるもののことをスープと呼び愛と呼ぶ”
2019/07/31
a子
自分の感情に気づかないフリしながらなんとなく毎日のルーティンを過ごす、そうして生活を守ってく。抑えきれない感情の熱が、思い出としてじゃなく感覚で蘇ってしまったら…ひどく厄介だ。過去の情熱なんて過ぎたままにしておいた方がいい。熱を失った後に残るものって、そんなに悪くないと思うんだけどな。過去の記憶と未来の記憶と小説がぱらぱらといろんな所にまぶされて、小気味良く続く言葉の羅列にぽーっとしてる間にはぐらかされて。津田さんの本気を探しながら、過ぎてく女性たちの心の重さをはかりながら、。もいちど鳩撃を読もう。
2020/03/09
ロマンチッカーnao
鳩の撃退法を読み主人公の元小説家の津田が主人公の作品があるとのことで『5』を読みました。いやぁ、これもまだるっこくて津田の会話にはイラつく、イラつく。こんな奴はどこにいても嫌われると思うけど、何故か、常に女性が側にいる。女性っていっても人妻だけど。はまればハマる小説です。でも、次は精神衛生上の為にも佐藤正午作品以外のものを読みます(笑)
2018/03/19
紡ぎ猫
いい加減で人をコケにしたような主人公の性格丸出しの文章(決して批判しているのではありません)。冒頭の中志郎の部分は、なんて意地の悪い夫、と思って読んでいったら、主人公の目を通して描かれているからそうなのかと後で納得。「必ず冷めるのがスープであり愛である」て当たり前のことを、当たり前だとわかっているのに、改めて誰かに言われなければ心にすとんと落ちないものかもね。でも津田の愛とスープは最初から全部冷めてる。
2020/05/25
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