文藝百物語
文藝百物語 / 感想・レビュー
ヴェルナーの日記
本書の編集は東雅夫氏。同氏は、大学時代から"幻想文学"に携わり、澁澤龍彦・中井英夫・種村季弘・荒俣宏らと季刊研究評論誌『幻想文学』を創刊。さらにはSF専門雑誌『SFマガジン』や、学研で「学研ホラーノベルズ(現在の雑誌『ムー』)シリーズなどの企画編集に携わるなど、ホラーの王道を歩んできた大家。本書は1997年に出版された。現在において壮そうたるホラー作家が集って"百物語"を開催された内容を収録編集した一冊。怪談という語りなので口語調だが、怪談話は、ある意味"落語"と同じで語り口調でも違和感はない。
2021/04/23
キンモクセイ
1997年3月17日の「百物語」怪談会の記録本。豪華メンバーによる怪談話。これは怪異じゃないよね?っていう話もいくつかあるけど、そこはスルーで。圧倒的に女性の語りが多いし怖さもある。驚いたのが「新耳袋」で知っていた「山の牧場」の話と「三角屋敷」の話。「山の牧場」は北野誠も実際に行っているけど、何の目的で建てられたか不明で怪しい。「三角屋敷」は加門さんの著書で更に詳しく語られている。宿泊先の話が多く日本旅館は怖くて嫌だという。旅先に塩やお香を持参するというのも興味深い。毎回遭遇してしまう人は大変だな。
2020/04/11
じゅんぢ
簡潔版だけど、何回読んでも怖い「三角屋敷」の話。百物語の雰囲気も味わえてただでさえ怖い話が更に怖く感じてしまう。
2023/02/16
ぐうぐう
1997年、東雅夫の呼びかけにより、ホラー系の作家を旅館に集め、一晩に渡り行われた百物語を収録した『文藝百物語』。百物語を再現する企画はそれまでも数多とあったが、実際に百話語られることはほとんどない。当企画の白眉は、実際に見聞きした怪談が本当に百話語られているところだ。そのボリュームにまずは圧倒される。おもしろいのは、百話もあればその中には怪談として中途半端なエピソードもいくつか存在する点にある。幽霊の正体見たり枯れ尾花的な、あきらかに錯覚であったという、いわば笑い話にもなるエピソードがそれだ。(つづく)
2013/04/21
みんち
先日の『無惨百物語』が当たりだったので、調子づいて続けてまたもや怪談集を。というワケで東雅夫氏編集の『文藝百物語』を読了。これは、大正時代に『中央公論』誌上に掲載された『当世百物語』の現代版を立ち上げようという企画から行われた、同じようにその時代を代表するような文豪・怪談家を集めての百物語の会を、それぞれの語りそのままに書き起こしたもの。
2017/12/08
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