時には懺悔を (角川文庫 う 15-1)
時には懺悔を (角川文庫 う 15-1) / 感想・レビュー
おしゃべりメガネ
読友さんのレビューにひかれ、初挑戦の打海さん作品でしたが、イヤ、ホントにスゴい作品に出会いました。この衝撃はかつて『デフ・ヴォイス』を読了して以来のインパクトに匹敵します。話は基本、ミステリーで展開されますが正直、そんな話の軸なんてどうでもよくなるくらい本作の放つ雰囲気が独特すぎて圧倒されてしまいます。今から20年以上も前に書かれた作品なので、時代の流れは感じますが「障害児」を扱った内容でこんなにも奥深く、読者のココロを鷲掴みにしてしまう作品はここ最近ないのでは。読後感も本作でしか味わえないレベルかなと。
2016/12/05
キク
「愚者と愚者」シリーズの打海文三作品。2作目なので荒削りだけど、「誘拐された子供が障害児で、身代金を要求された両親は介護に疲れ切っていた」という探偵小説で、なんとも打海文三だ。キツい状況でも、前を向いて進もうと悪戦苦闘する登場人物達には応化戦争シリーズの原型を感じる。僕は息子の手術の関係で、小平にある国立精神・神経医療センターの小児科に出入りしてた時期がある。関東中から重度の障害を抱えた子供達と付き添いの母親達が集まっていた。みんなすごく前向きで美しいなと感じていたことを思い出した。そうだ、前を向くんだ。
2022/05/29
goro@80.7
子供を持つこともなく己の楽しみだけに生きる身としては想像の埒外だけど、大変だろうなと思う事こそ烏滸がましいのではないかと考える次第です。世のお父さんお母さんは凄いですよ。テーマは重く「神様かもしれない」と思える心境になれるかと問われる。打海文三をまた読み直してみたい。いつの間にか彼の歳も越えちゃったわ。
2024/05/02
おいしゃん
探偵が主人公で、探偵殺しと障害児誘拐事件を追う、という珍しい筋立て。おまけにやや、ハードボイルドで古風な文体もあり、はじめはなかなかページが進まなかった。が中盤、障害児と父親らの血の通った描写が出始めてから、一気にのめり込めた。これはかなりの隠れた良作。そして、冒頭では想像もつかない読後感の良さ。
2018/01/06
ken_sakura
好き。「灰姫」の誰にも見せずに独り書ききった様な読み難さは無い第二作。主人公は旧知の探偵米本の死体に遭遇した探偵佐竹三郎。探ってみたいのだ。近い将来の自分の死因を。佐竹の自問で幕が上がる物語。突撃する女、助手の中野聡子がとても好き(*^_^*)P242「ロックは生き方という言い方はありうるかもしれないが探偵は生き方じゃない。そして全ての職業は卑しい」P243「不幸の影がさしていない家庭などない」障害児の家族でいることはロックだ、と読んだ。漂う実感に誘われて私小説の類であることは後で知った。著者の本は3冊目
2017/10/07
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