法と掟と この国の捨て方 (角川文庫 み 30-4)
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法と掟と この国の捨て方 (角川文庫 み 30-4) / 感想・レビュー
調“本”薬局問悶堂
思ってた本と違った。学生運動の頃のことなどが書いてるのかと思っていた。 私が漠然としか描けない社会の矛盾を、自身で消化して言葉にできる人(本職だが)なのだと思った。 驚くこと、難しくて分からないことも多かったが 、なるほどと思うこともあった。好きになれない考えもあった。 好きになれなかった部分は、このまま世界が資本主義で進むことが前提なこと。 それは私が共産主義ということじゃなく、「たかだか2,300年の歴史しかない資本主義が本当に最良のものかなぜ分かるの?」と思うから。 《2020年6月 登録》
2009/10/25
ピラックマ
何故?柄谷 行人が解説を?と思いつつ読む。ネーションの問題に宮崎流の弩迫力で迫っていってる。NAMでは突破できなかった現場力というものをこの人は持っているように見えるから?
2012/02/16
OjohmbonX
本来ボトムアップ(掟→法/個別社会→国家)で成立した過程を忘却し、トップダウンな構造と誤認する=法や国家が掟や個別社会に優先すると見做す習慣が蔓延すると、個別社会が弱まり世間の力が強まる。日本でその傾向が強いのは、明治期にプラットフォームを輸入した際スピード優先で個別社会を潰して上からシステムを多い被せたから。さらに個別社会が簡単に潰れたのは徳川時代に既に諸中間勢力がお上の物だったから……といった要約は本書に対して無力。全体の主張と同じ精神で、抽象に走らず具体的な現象を語り続けるのが本書の魅力なので。
2011/12/05
シマ
資本主義がすっかり歳をとった現在、大資本の暴走のため法や権力が介入しないと競争が成り立たなくなった。歳を取っても、健康劣化の自覚がない状態、責任として、残される者のことも考えなければいけないのに。だから国家による法や権力の介入となる。対する若い資本主義では、社会と掟で制御できる規模のもの。法は国家の、掟は社会の規範だが、社会間で利害が衝突した場合、法による調整が必要となる。それは調整にとどまるべきで、公共の福利に反しない限り介入してはならない。下部組織の優位が忘れられ、介入された社会もどきが拡散してゆく。
2022/12/31
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