ためらいの倫理学 戦争・性・物語 (角川文庫)
ためらいの倫理学 戦争・性・物語 (角川文庫) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
内田樹氏のデビュー作。単行本での出版は2001年。氏がここで取り上げている諸問題は、問題それ自体は何ら特異なものではない。物事の捉え方、解析の仕方に氏の固有性が発揮される。例えば、「自虐史観」と「戦後責任」を論じるにあたって、氏はフロイトを引き合いに出し、「事実」そのものではなくても、「事実として生きられたこと」に着眼するのである。たしかに事実そのものの究明は必要だが、それと同時に(たとえ幻想であろうとも)生きられた過去が存在する、そうした見方は私には頗る新鮮であった。「有事」についてもまたしかり。
2018/09/24
マエダ
最大の敵であるからではなく、一番近しい隣人という考えで本書では、フェミニストとポストモダニストを批判の標的にしている。著者本人も言うように「専門家」と「素人」の中間の文章が人気の理由であり面白い。
2018/12/24
ころこ
最近になって著者の本を読むようになりましたが、その理由は名立たる評者が著者を評価していたからでした。しかし、実際に読んでみると評判通りではない本も多く、それらの良い評価に疑問に思っていましたが、本書こそ「内田樹とは」という問いに応えている本でした。ある原理があり、それに従うに十分な強度がある。普通の人はこの原理のことを倫理と呼びます。しかし、その原理はひょっとしたら間違っているかも知れないと疑いを持つこと。最終的に従うにしても、著者はこの疑いのことを倫理と呼びます。現在活躍されている言論人に本書と同様の表
2021/09/03
おさむ
ウェブの雑文をまとめたものなので、文体が変わったり、内容もバラバラでとても読みづらい。内田センセイの本って時々こういうハズレがあるので困ります。
2016/04/26
さきん
絶対的な正しさを主張する人て、絶対も現実ないし、正しさも立場によって変わるので、ほんといやだよねというところは共感。しかし、そんな簡単なことを色々、古今東西の難しい思想を使って語りうる必要はないかなと思った。その一方で、自分の中で、正しさを作って持っておくのは大事なことじゃないかなと思った。戦争もいやだから話したくもないという気持ちもありつつ、人間の醜悪さを見つめて、そこにできるだけの対応である軍備と覚悟というのは必要なんだろうと思う。
2023/01/12
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