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ユージニア (角川文庫)

ユージニア (角川文庫)

ユージニア (角川文庫)

作家
恩田陸
祖父江慎
出版社
KADOKAWA
発売日
2008-08-25
ISBN
9784043710027
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ユージニア (角川文庫) / 感想・レビュー

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ehirano1

これまた凄いのに出会ってしまいました。第三者的記述が終始不穏な雰囲気を醸し出し、読者の数だけ「真実」があるのではないかと思いました。当方は、第一章と第二章で「ノンフィクション」「現実に起きた出来事」への記述が終始頭から離れず、誰が犯人というよりもむしろ「真実の持つ意味」に興味を惹かれました。

2017/05/13

ヴェネツィア

小説作法としては、芥川の『藪の中』を踏襲しているだろう。緋紗子には特定のモデルはないようだが、俤としては谷崎の春琴あたりか。古都、金沢(明記されてはいないが)で起こった帝銀事件ばりの殺人事件を巡って、何人もが自分の知り得た情報を語る。起筆から展開部まではスリリングで、登場人物たちも緋紗子を別格としつつ、それぞれは相応に魅力的である。ただし、この手法からは読者にも真犯人の予想はつくし、その意味ではミステリーとしての妙味にはやや乏しいか。また、物語の終盤近くまでは緊張感を保っていたが、最後の謎解きに⇒

2024/10/08

さてさて

インタビュー形式で「」括りになっていたり、なっていなかったり、第三人称的な書き方や記事のようなものや取材メモがいきなり出てきたり、それでいて時系列はバラバラ。何が本当で何が嘘なのか?この本は、推理小説として真実、結末を追うものなどではなく、茫洋とした独特な世界観の中に描かれる色んな人たちが同じ一つの事象をどう捉え、どう見ているか、その人の考え方、感じ方、そういった心の内を味わう作品なんだと思いました。そう、読者のこれまでの経験によって見える世界も変わり、読者の数だけ答えがある。なんとも興味深い作品でした。

2021/03/02

パトラッシュ

映画『羅生門』のように同じ出来事を複数の登場人物の視点から描く作品と思っていると、最後は黒でも白でもないグレイゾーンのまま終わる。各章ごとに語り手も時系列も違って読みづらく、もつれた糸をほぐすのではなく、さらに複雑に絡まり合ってしまう。そこで作者は人間の見る目のなさをさらけ出し、読者に「こんな曖昧な証言で犯罪が解決された気になるなんて」と迫るようだ。しかも黒澤監督のように、わずかな救いさえ残さない。推理作家協会賞受賞作だが、従来のあらゆるミステリのパターンを否定する点にこそ作者の意思があったのではないか。

2020/09/08

こなな

『雨は、海から降ってくる。』日本海側はまさにその通り。その表現に圧倒され、最初から引き込まれて行った。小説の中に小説があって複雑さを感じるにもかかわらず次から次へと展開していく場面がスルスルと頭に入っていく。面白くて読むのを止められなかった。緋紗子さんは、母親のことを実際どう思っていたのか。緋紗子さんは、裕福ではあった。しかし、愛情を感じていなかった。敏感な緋紗子さんは、自分が大切にされていないと感じていた。ということ?青澤緋紗子というお名前、金沢の壁の弁柄色と群青色からだと思う。

2019/08/20

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