コイノカオリ (角川文庫 か 39-50)
コイノカオリ (角川文庫 か 39-50) / 感想・レビュー
ハミング♪♪@LIVE ON LIVE
想像していたような感じのお話ではなかったが、どれも「コイノカオリ」がするものだった。どれも悲しくて切ない雰囲気があったが、「コイノカオリ」とはそういうものなのかもしれない。生田紗代氏の「海のなかには夜」に出てくる佐智子の心情にすごく共感した!あのアンビヴァレントな感情は、嫌というほどわかる。宮下奈都氏の「日をつなぐ」に出てくる修ちゃんが気になった。「アフリカとブラジル」「土星と土星の輪」「ハイペリオン」「バイオリン」などなんか良かった。食べ物の描写がおいしそうで、豆のスープが飲みたくなった。
2014/07/10
りゅう☆
同じシャンプー、レモン、蜂蜜、たばこ、豆のスープ、椎茸の香りから綴られる6つの恋の短編集。栗田有起さん「泣きっつらにハニー」のマッサージルームのオーナーのママがお気に入り。宮下奈都さん「日をつなぐ」では知らない土地でのほとんど一人での子育てで不安を感じ、豆スープを作ることで自分を少し取り戻して前向きに向かおうとする姿勢が同じ宮下さんの「太陽のパスタ、豆のスープ」を思い出す。修ちゃんの話、私も気になるな~。
2014/09/21
ワニニ
読んでいて、止めてと思うくらいカオリが鼻につく作品(悪い意味ではなく)、カオリにうっとりしてしまう作品、あまりカオリが感じられない作品などあって、面白かった。不確かな人とのつながり、愛と気持ちが、それぞれ良かったアンソロジー。カオリというか匂いは、パッと記憶を鮮明にする。カオリということでは、角田光代・栗田有起・井上荒野が印象深いが、物語としては島本理生が好き。宮下奈都は、新米ママの閉塞感を思い出し、切なかった。年代順ぽい気もするけれど、『犬と椎茸』を最後にしないで欲しかった。上手すぎて…やるせない。
2014/11/24
Kumiko
タイトルから甘々のラブストーリーを想像していました。思ってたのとはちょっと違ったけど、「香り」と「恋心」ってやっぱり密接な関係。タバコの残り香、汗の匂い、エアーサロンパスの匂いでさえも、恋が絡めば全ていい香りになっちゃうんだよね(上記の匂いは内容とは無関係です)。この本の中でリアルだったのは断然大トリの井上荒野さん『犬と椎茸』。恋人を友人に獲られるきっかけになった日に漂っていた匂い。そりゃ後々まで忘れられるまい。女心の複雑さをこの短編の中で最大限に描いていて好み。超久しぶりのアンソロジーでした。
2018/07/15
タルシル📖ヨムノスキー
タイトルを見て、勝手にピュアな初恋のレモンやミントの香りを想像して手に取ったが、内容は、「母の不倫相手と母は同じシャンプーの香りがした」とか、「夜学に通学する主人公が好きになった相手は…」とか、「大学生の恋がゆっくりフェイドアウトする話」などの変化球責めで、ちょっと面食らった。そんな中一番良かったのは、やっぱり宮下奈都さんの〝日をつなぐ〟。豆のスープの香りはともかく、「自分も奥さんにこんな思いをさせていたかもしれない」と、読んでいて本当に苦しくなった。まだまだ人生経験が足りないと実感させられた一冊。
2020/03/18
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