死にたもう母 (角川文庫 て 9-1)
死にたもう母 (角川文庫 て 9-1) / 感想・レビュー
禿童子
作家の身辺雑記といってしまえば味気ないが、出久根達郎のエッセイは小説より面白いとひそかに思っている。89歳で亡くなった実母と元子役女優の義母と一つ屋根に暮らした日々を半ばあけすけに語るのを横に座って聞いている気分。執筆当時の著者よりも自分の方が年を取っているとは意外の感もある。祖母と祖父のなれそめのエピソードが可笑しい。「祖父の若い時分は、狐に化かされる人が非常に多かった。人間が愚かであったのでなく、狐の化かす術が、現代よりはるかにすぐれていたのである。何事も時代を経るに従い、劣ってきたと考えてよい。」
2021/12/08
rokoroko
実母90の事を思って読んだ。今イライラの元だけど、消えていなくなる時が来るのかな、その時どんな風にかんじるのだろう?
2018/08/31
Caroline
作者の母、作者の妻の母と住んでいた頃のエッセイ。明治、大正生まれであろう女性の可愛らしさを感じます。が、「死にたもう母」の割には母親のエピソードが少なくて残念。
2015/07/19
sasha
母と義母。晩年のふたりの母のことと、その死。愛犬のこと、歳を重ねるということ。勿論、本業(?)である古本のことも。日常のささいな出来事が、心に沁み入るエッセイに仕上がっている。うまいなぁ。
2011/10/28
kousei
中年にならないとわからないじんわり効くこう薬のごとき味わいですね。基本的に活字好きで古本屋経営して文筆業で直木賞取って遅咲きでも長く好きなことを続けるって良いね
2016/05/20
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