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アーモンド入りチョコレートのワルツ (角川文庫)

アーモンド入りチョコレートのワルツ (角川文庫)

アーモンド入りチョコレートのワルツ (角川文庫)

作家
森絵都
出版社
角川書店
発売日
2005-06-25
ISBN
9784043791019
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アーモンド入りチョコレートのワルツ (角川文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

表題作を含めて3つの作品を収録する。いずれもピアノ音楽が基調に流れる構成。最初が少年たちの一夏を綴るシューマンの「子どもの情景」、次いでは少年と少女の淡い初恋を描くバッハの「ゴールドベルグ変奏曲」、そして最後が二人の少女と二人の大人の輪舞曲でサティの「童話音楽の献立表」。この試みは一応は成功していると言えるだろう。表題作は、宮沢賢治の『風の又三郎」を思わせる構成だが、短い作品の中に素材を盛り込み過ぎて、煩雑である。私はシンプルな「彼女のアリア」を採る。

2023/04/04

さてさて

三つの短編の主人公たちが、それぞれの中学時代をそれぞれに駆け抜けていくその先に、そんな時代をふと振り返る瞬間を見るこの作品。そんな物語には、二度と戻ることのできないまぶしい日々の記憶が鮮やかに刻まれていました。中学時代は、身体的にも、精神的にも物凄い速さで過ぎ去っていきます。読者を一瞬にして、そんな『あのころ』へと引き戻してくれるのがこの作品。キラキラと輝いていたあの時代が、誰にでも、そう、あなたにも確かにあったことを教えてくれるこの作品。森絵都さんの素晴らしい筆致にただただ魅了される傑作だと思いました。

2022/10/01

zero1

文字で音を聴かせることができたら一流の作家。短編3つだが実力者の森は手を抜かない。ピアノ曲から物語を見事に紡いでいる。「子供は眠る」は夏に別荘滞在する2週間を「裸の王様」の心理描写で。「彼女のアリア」は不眠の中学生が同志を見つけ語り合う。しかしその内容には疑問が。表題作はピアノ教室の先生とフランス人の男、そして生徒二人の関係を描く。解説の角田光代が語るように、年齢を重ねていても中学生に戻れる。それは作者の森が否定でなく肯定しているから(後述)。短い中に深い世界を構築できるのは流石。読んで損なしの一冊。

2020/01/29

風眠

シューマン、バッハ、サティ、3つのピアノ曲にまつわる短編集。13歳〜15歳までの思春期真っ最中の少年少女たち。微妙で複雑で、プライドを守るための少しの嘘と悪意と。二度とは戻らない季節だからこそ、夢見るようなメロディが似合う。表題作『アーモンド入りチョコレートのワルツ』のラスト、「絹子先生とサティのおじさんはワルツで、君絵は歌で、そしてわたしはふつうにしていることで、みんなが自分をつらぬいている。」というくだりでグッときた。ころころ揺れるピアノ曲のような、愛らしい物語。

2012/12/27

エドワード

かけがえのない時間。だけどもいつかは終わりを告げる。そんな、中高生を主人公にした3つの切なく心あたたまる短編小説。大人でも十分味わうことができる。サティの音楽をタイトルにした第3話がいい。風変りなピアノの絹子先生とサティのおじさん。時を忘れて踊るワルツ。タイトルの曲は知らなかったが、サティの音楽は実に魅力的だ。このような時間を持つことができたら、本当に幸せに違いない。

2011/05/04

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